日本IBMは6月4日、中堅市場向け施策についての説明会を開催した。同社は、グローバルで中堅市場に注力すべく、この市場を専門に担当する「ゼネラルビジネス事業部」を立ち上げたばかりだ。
IBM ゼネラルビジネス事業担当 ゼネラルマネージャーのSteven Solazzo氏は、同社が中堅企業にフォーカスする理由について、「中堅企業の数は100万社以上あり、市場規模も2530億ドルにのぼる」と、ビジネスチャンスが大きいことを説明する。その一方で、こうした企業はIT要員が少なく、システム統合の能力も限られているため、IBMが支援できる策は多いと見ているのだ。
Solazzo氏は、IBMが中堅市場にアプローチする手法として、4つの戦略を語った。その4つとは、中堅市場に特化した製品やサービスを提供すること、マーケティング活動などを通じて新たな案件を発掘すること、顧客へのアプローチ方法を拡充し、よりよい顧客体験を提供すること、そしてパートナーに対する施策だ。
製品については、中堅企業に特化したポートフォリオ「Express Advantage」を150種以上用意しており、2008年に入ってからもExpressシリーズとしてセキュリティ監視・運用サービスやサーバ群などを発表している。また、IBMのパートナーからは、「組み込み式Express Advantage」として1350種類のソリューションが提供されている。
案件発掘のためには、2008年で1億5000万ドルのマーケティング投資を行う予定だ。その一環として、大阪や名古屋でExpress Advantageを認知してもらうための広告などを展開する。Solazzo氏は「IBMの製品は大企業向けと思われがちだが、中堅企業向けのソリューションも数多く用意していることを知ってもらいたい」と話す。
顧客に向けた施策としては、見込み客が気軽に情報を得られるよう、コンシェルジュを設けた。コンシェルジュとのやりとりのうち、「12%は有効な見込み案件になった」とSolazzo氏。また、中堅市場への主要なルートとなるパートナーに対しては、見込み案件を発掘するための共同マーケティングプログラムなどを展開する。
日本IBM 執行役員 ゼネラルビジネス事業担当の小原琢哉氏は、「中堅企業にとってIBMは敷居が高いというイメージがあった。この市場に注力することで、こうしたイメージを払しょくしたい」と述べた。