それではグリーンなデータセンターを構築・運用するにはどうしたらいいのか――。これにはさまざまな解決方法が挙げられるが、その一つとしてBarrenechea氏が紹介したのが、交流(AC)電源となっているサーバを直流(DC)電源対応にすることで、サーバの電源効率を大幅に向上させることができるというものだ。DC電源対応は今まで通信事業者向けの限られてた用途で用いられてきているが、その電源効率は最大で95.5%となっている。AC電源の76.1%に比較して、その効率の高さが分かるだろう。
Barrenechea氏は、解決策の一つとして、CPUの使用率を向上させるという方法も挙げている。具体的には、利用率の低いサーバを停止させ、サーバファームの規模を適正化させたり、有効に機能していない遊休状態もしくは老朽化したサーバの使用を中止したりといった方法で対処するのである。あるいは、未使用時のサーバの電源を切るといった対応も有効な対策とBarrenechea氏は説明する。もちろん、仮想化技術によって、サーバを統合させるというのも、有効な手段である。
グリーンなデータセンターの構築・運用方法として、Barrenechea氏は、サーバ以外の、冷却設備などの設備インフラの規模を適正化し、IT負荷によって対応するという手段を挙げる。この対応策によって、「電力消費量を10〜30%節約できる」(Barrenechea氏)という。
こうした対応策の中で有効なのが、データセンター全体をベンチマーキングするということだ。これは、「電力使用効率性(Power Usage Effectiveness:PUE)」と「データセンターインフラ効率性(Data Center infrastructure Efficiency:DCiE)」と呼ばれる指標を用いるのである。
PUEは、「設備全体の消費電力÷IT機器の消費電力」という計算式で求められ、その理想値は1となる。反対に「IT機器の消費電力÷設備全体の消費電力」で求められるのがDCiEだ(DCiEはPUEの逆数になる)であり、その理想値は100%となる。たとえば、PUEが3.0(DCiEは33%)であるということは、IT機器に必要な電力量の3倍をデータセンター全体に供給する必要がある、ということを示す。
データセンターにおける電力消費量の増大が問題となりつつある現在、データセンター事業者はその電力の効率性を自身でベンチマーキングする必要性が出てきているのである。