「世界のデータセンター電力消費量は過去6年間でほぼ倍増」:米Rackable - (page 2)

田中好伸(編集部)

2008-06-16 16:02

 それではグリーンなデータセンターを構築・運用するにはどうしたらいいのか――。これにはさまざまな解決方法が挙げられるが、その一つとしてBarrenechea氏が紹介したのが、交流(AC)電源となっているサーバを直流(DC)電源対応にすることで、サーバの電源効率を大幅に向上させることができるというものだ。DC電源対応は今まで通信事業者向けの限られてた用途で用いられてきているが、その電源効率は最大で95.5%となっている。AC電源の76.1%に比較して、その効率の高さが分かるだろう。

 Barrenechea氏は、解決策の一つとして、CPUの使用率を向上させるという方法も挙げている。具体的には、利用率の低いサーバを停止させ、サーバファームの規模を適正化させたり、有効に機能していない遊休状態もしくは老朽化したサーバの使用を中止したりといった方法で対処するのである。あるいは、未使用時のサーバの電源を切るといった対応も有効な対策とBarrenechea氏は説明する。もちろん、仮想化技術によって、サーバを統合させるというのも、有効な手段である。

 グリーンなデータセンターの構築・運用方法として、Barrenechea氏は、サーバ以外の、冷却設備などの設備インフラの規模を適正化し、IT負荷によって対応するという手段を挙げる。この対応策によって、「電力消費量を10〜30%節約できる」(Barrenechea氏)という。

 こうした対応策の中で有効なのが、データセンター全体をベンチマーキングするということだ。これは、「電力使用効率性(Power Usage Effectiveness:PUE)」と「データセンターインフラ効率性(Data Center infrastructure Efficiency:DCiE)」と呼ばれる指標を用いるのである。

 PUEは、「設備全体の消費電力÷IT機器の消費電力」という計算式で求められ、その理想値は1となる。反対に「IT機器の消費電力÷設備全体の消費電力」で求められるのがDCiEだ(DCiEはPUEの逆数になる)であり、その理想値は100%となる。たとえば、PUEが3.0(DCiEは33%)であるということは、IT機器に必要な電力量の3倍をデータセンター全体に供給する必要がある、ということを示す。

 データセンターにおける電力消費量の増大が問題となりつつある現在、データセンター事業者はその電力の効率性を自身でベンチマーキングする必要性が出てきているのである。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. クラウドコンピューティング

    生成 AI の真価を引き出すアプリケーション戦略--ユースケースから導くアプローチ

  2. セキュリティ

    セキュリティ担当者に贈る、従業員のリテラシーが測れる「情報セキュリティ理解度チェックテスト」

  3. セキュリティ

    マンガで解説、「WAF」活用が脆弱性への応急処置に効果的である理由とは?

  4. セキュリティ

    クラウドネイティブ開発の要”API”--調査に見る「懸念されるリスク」と「セキュリティ対応策」

  5. セキュリティ

    5分で学ぶCIEMの基礎--なぜ今CIEM(クラウドインフラストラクチャ権限管理)が必要なのか?

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]