ITにおける永遠の命題:自分で作るか、購入するか?

文:John Sheesley(Special to TechRepublic) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子

2008-10-22 08:00

 IT業界には昔から、ソリューションを自社で生み出すべきか、あるいは出来合いのものを購入すべきかという難問がある。そこで本記事では、両者の対比でよく用いられる主張を採り上げ、最善の結論を導き出すにはどうすればよいのかについて考えてみたい。

 「何かを自らで行うべきか、それとも誰かにやらせるべきか?」という命題は、地球上に人類が誕生した頃から存在している。そしてこの命題には、IT業界も昔から悩まされているのである。PCをパーツから組み立てるかどうかであれ、IT業務すべてをアウトソーシングするかどうかであれ、問題に対するソリューションを自前で作り出すのが良いのか、それとも出来合いのものを購入するのが良いのかについての議論が続いている。

共通のテーマ

 自前で作り出すべきか、あるいは出来合いのものを購入すべきかという議論は、ITそのものに課された役割という面からだけではなく、ITにおけるありとあらゆる側面にも存在している。そしてこういった議論においては、いずれのやり方がふさわしいのかを左右するようなさまざまな詳細がそれぞれの側面に存在している。しかしそれと同時に、共通の認識というものも議論の根底に流れているのだ。

 まず、標準的な費用便益分析というものがある。これを行うには、問題をブレークダウンして、実際のコストを算出するだけだ。これはそれほど難しい比較ではないはずだ。ソリューションを自前で完成させる場合と、社外の誰かに行わせる場合のコストを算出するのだ。そしてその結果を、ソリューションの重要性と照らし合わせることで、自らの時間を費やすだけの価値があるかどうかを判断するのである。

 共通認識となる2つ目の意志決定要素は最初のものに関連している。それは、あなたが判断しようとしている機能的側面が戦略的にいかに重要であるかということである。あなたの組織の中核をなし、企業としての存続もしくは基盤業務における鍵を握っている機能的側面の重要性を考慮した場合、いくらコストがかかろうと社外の人間に任せることはできないのである。

 私はこういったファクタのことを「パトカーと拳銃」と呼んでいる。私が地元の警察署のために仕事をしていた時のことである。あるコンピュータシステムの購入を検討していたところ、担当の責任者が「それはどれほど重要なんだい?警察官にとって必要なものはパトカーと拳銃だけだ。パトカーと拳銃がなければ悪人を捕まえることはできないんだよ」と言ったのだった。厳しい財政下では、新システムの導入によって、警察署の中核業務に割り当てられている基本予算が削られることになるのだ。新システムは重要であったが、他にもっと重要なものがあったというわけだ。

 自前で作り出すべきか、あるいは出来合いのものを購入すべきかという議論に共通する最後の要素は、カスタマイズである。前者を選んだ場合、希望通りのソリューションを作り上げることが可能である。しかし後者を選んだ場合には、一般ユーザー向けに作られた製品をまったくカスタマイズせずに使うようになることも多いのだ。販売されているソリューションはたいていの場合、一般的なユーザに向けて作られたものとなっているため、それでは満足できないような特殊なニーズがあなたの会社にないことを確認しておく必要があるのだ。また、業務プロセスに合わせてソリューションをカスタマイズするのではなく、一般的なソリューションに合わせて業務プロセス自体を変更しなければならない場合もある。カスタマイズ可能なソリューションを購入できる場合もあるものの、追加コストが必要となり、より複雑なものにもなってしまうのだ。

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