MSとアマゾンのクラウドサービスの違いはキャッシング

文:Mary Jo Foley(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:菊地千枝子

2008-11-27 08:25

 進化するクラウドサービス領域を主導する2社であるAmazonとMicrosoftは、顧客にいくつかの――少なくとも表面的には――似たようなウェアを提供している。しかしキャッシングの分野となると、2社の方向性が分かれるようだ。

 Amazonは、Microsoftが最終的にクラウド戦略とサービスを披露する予定であることを知りながら、今秋に入りMicrosoftに対する先制攻撃をしかけた。その結果:両社ともSQL Serverベースのホステッドデータベースサービス(AmazonのSimpleDBとMicrosoftのSQL Services);基礎的なストレージサービス(AmazonのS3とMicrosoftのAzure Storageレイヤー);「クラウドオペレーティングシステム」(AmazonのEC2とMicrosoftのAzure OS);遠隔地のデータセンターサーバでWindows アプリとサービスをホストする機能を提供している。

 Amazonは先週、「CloudFront」として知られる約束されていたコンテンツデリバリ/キャッシングサービスのテストバージョンをローンチした。CloudFrontでは分散型データセンターサーバのネットワークで提供されるAmazonがホストするコンテンツのスピードアップを助けることが意図されている。

 Microsoftとしては、「Velocity」というコード名の分散型でインメモリのキャッシングソリューションを構築している。Microsoftはこの夏に初めてVelocityを披露した。10月終わりにはVelocityの2回目のCommunity Technology Preview(CTP)2テストビルドをリリースしている。

 VelocityはCloudFrontと何が違うのか?この質問をMicrosoftに先週終わりに投げかけていたが、同社の広報担当者より、以下の回答を受け取った。

 「わが社のこの発表に対する理解に基づくと、Amazonは本質的にはセルフサービスのコンテンツデリバリネットワーク(CDN)を設けたのであり、ほかのCDN提供業者によるサービスと競合するものかもしれない。これはアプリケーション開発者が拡張可能なデータキャッシングソリューションを自分たちのサーバ内で提供するためのツールであるVelocityとは異なる(つまりMicrosoftは彼らのためにキャッシュをホストしないのである)。」

 (MicrosoftはCDNサービスをHotmailのような自社のクラウドサービスのために提供または利用する方法について長年取り組んでいる。これは2006年12月にさかのぼるThinkWeekのペーパーであるが、Microsoftが「Edge Computing Network」と呼ぶものを自前の環境でどのように構築しているかについて、詳しく説明している。MicrosoftはLimelight Networks――Microsoftの買収対象であると長いこと噂されている会社――からCDN技術のライセンスを受けている。)

 Velocity対CloudFrontの話に戻る。Microsoftの位置づけに関する声明に基づくと、同社は顧客に対して、クラウド内のキャッシングサービスを提供しない。むしろ同社は顧客に彼らが自身のクラウドアプリを構築する際に使えるキャッシング技術を提供しているのだ。以下はMicrosoftのVelocityに関するスライドから引用した図である(Professional Developers Conferenceより)。VelocityがMicrosoftの世界の中でどこに位置するかが示されている。

velocity

 Microsoftは2009年春のMixカンファレンスにおいてVelocityキャッシング技術のCTP3をリリースする計画である。そして同製品の最終版を2009年半ばにリリースする予定であるとPDCのスライドは指摘している。スライドによると、Velocityの最初のリリースは「.Net Frameworkのための無料の特別リリース」として提供される予定であるという。

 開発者のみなさんへ:どちらかご希望のソリューションはありますか?自分のクラウドベンダーがホステッドキャッシングを提供することを望みますか?それとも自分のアプリをキャッシュして、その後でホストしたほうがよいですか?

 (全く別の話だが:Microsoftはコード名を使い果たしたのだろうか?筆者が知っている限り、同社は現在3つの「Velocity」プロジェクトを抱えている:インメモリのキャッシング技術のVelocity;再販業者チャンネルプログラムのVelocity ;そしてWindows OEMが顧客の新しいWindows PCについて「箱から出してすぐの体験」を改善することに注力したVelocity イニシアティブである。)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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