MSのクラウドプラットフォーム「Azure」に当惑する人たちへのガイド

文:Mary Jo Foley(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:菊地千枝子 2008年10月28日 10時26分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 Microsoft Professional Developers Conference (PDC)の最初の「ピクシーダスト」が落ち着いたいま、開発者たちは、Microsoftのクラウドプラットフォームが正確には何であるのかを消化しようとしているところだ。以下に筆者なりの説明を試みた。

 Microsoftは同社のクラウドの基礎的インフラストラクチャ「Azure」を当地ロサンジェルスで開催されたPDCの第1日目、キックオフの基調講演のなかで説明した。Azureの目標は、遠隔地のデータセンターで一部または完全に動作するアプリケーションを作成したいという開発者にプラットフォームとツール一式を提供することである。

 MicrosoftはAzureに関する価格、ライセンシング、またはタイミングの詳細を開示していない。同社はAzureのCommunity Technology Preview(CTP)テストビルドをPDCの参加者に対し、米国時間10月27日にリリースする計画である。(このCTPはソフトウェア開発キットとMicrosoftクラウドへのアクセスにより構成される。)

 Microsoftのクラウドは、構造略図という観点からは以下のようなものである:

azure

レイヤーゼロ(このスライドには表示されていない)は、Microsoftの「Global Foundational Services」である。GFSとはWindowsにおけるハードウェアアブストラクションレイヤ(HAL)のようなものである。これはサーバと直接結びつくソフトウェアの最下層レベルである。

レイヤー1は、Azureオペレーティングシステムの基盤である。これはかつてコード名「Red Dog」と呼ばれていたものだ。Red DogはMicrosoftのオペレーティングシステム専門家たちによる、Cloud Infrastructure Servicesのコーポレートバイスプレジデントを務めるAmitabh Srivastava氏が率いるチームにより設計された。「VMS」や「Windows NT」の父と評価されている人物であるDave Cutler氏はRed Dogの主要開発者のひとりである。(筆者がSrivastava氏に、Cutler氏のRed Dogにおける役割は何であったかと質問すると、Srivastava氏は、Cutler氏はハイバーバイザーや仮想化技術をデータセンターのサーバでどのように拡張できるかについて大いに注力していたと答えた。)

 Red Dogは、Microsoftがホストするクラウドを含む「Windows Server 2008」マシン一式をネットワーク化し、管理するものである。最上位レベルでは、Red Dogは4つの「柱」で構成される:ストレージ(ファイルシステムのようなもの);モデリング/配備そしてプロビジョニングのための管理システムである「ファブリックコントローラ」;仮想化されたコンピューテーションまたはVM;そして開発者がRed Dogをデスクトップ上にエミュレートさせ、それに対してクラウドアプリを書くことができるVisual Studio、Eclipseまたはその他のツールをプラグインさせる開発環境。Red Dogは、仮想化技術の使用により、MicrosoftはRed Dogを1台のマシンに配備するだけで、次に複数のインスタンスが、残りのクラウド内のサーバに複製することができるように設計されていると、Srivastava氏は述べた。

 「われわれは全てのマシンに配備するためにXcopyを使う。各マシンが各自のキャッシュを有している」とSrivastava氏は説明した。

レイヤー2は、Azureの上位にくるビルディングブロックサービスの一式である。開発者はこれらのサービスを使用する必要はなく、このなかから種々様々な組み合わせが可能となる。最初のサービス一式には「Live Services」(別名「Live Mesh」プラットフォーム);「SQL Server Data Services」(今では「SQL Services」として知られている);「.Net Services」(以前は「Zurich」として知られていた);「SharePoint Services」そして「Dynamics CRM Services」が含まれる。開発者はクラウドアプリを作成するときに、これらの下位レベルのサービス上に構築することができるようになる。SharePoint ServicesとCRM Servicesは「SharePoint Online」および「CRM Online」と同じものではない。これらはユーザーインターフェース要素を含まないプラットフォームの「内部構造」のみである。

 (もうひとつはっきりさせておくと:レイヤー1とレイヤー2はともに――Microsoftが「Azureプラットフォーム」と呼ぶもの――「Windows Strata」として束の間知られていたものである。)

レイヤー3は、Azureがホストするアプリケーションである。この一部はMicrosoftによるものであり、「SharePoint Online」「Exchange Online」「Dynamics CRM Online」を含む。その他は第3者開発者により作成される。

 いずれMicrosoftはクラウドプラットフォームでもっと大きなものを提供すると約束している。まず同社の企業向けアプリケーション全てをMicrosoftがホストするバージョンの提供を約束した。したがって筆者が何カ月も聞き続けている「Forefront Online」や「System Center Online」のうわさは、構想段階にあるようだ。これらOnlineサービスは、MicrosoftのLiveサービスと同様に、ゆっくりとAzureの上位で実行されるように移行している。(ただいまのところAzure上でホストされている唯一のMicrosoft Live資産はLive Meshである。次なる製品は「Live Meeting」となるだろうと、Srivastava氏は述べていた。)

 そのようなわけで、明らかなもの――ライセンシング、料金、予定日――は別として、読者はMicrosoftのクラウドインフラストラクチャについて何を知りたいですか?いまのところ何か落とし穴はみえますか?

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連キーワード
経営

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]