非公開企業のカスペルスキーは金融危機でもR&D投資が可能:COOが業績語る - (page 3)

渡邉利和

2008-12-12 18:06

--日本におけるブランド戦略

 日本におけるKaspersky Labのブランドイメージが変わるには、そう長い時間は掛からないだろう。われわれにはふんだんなリソースがあるとは言えないため、日本市場での取り組みも段階を追って少しずつ実行しているところだ。

 ロシア市場では、ロシア企業であるわれわれがブランドイメージを確立するのは容易であり、ヨーロッパ市場でも、ロシアと地理的に近いこともあって迅速に受け入れられた。これらの地域では、われわれのブランド戦略は「第2ステージ」に入っている。一方、アジア地域や北米は、ロシアやヨーロッパにはまだ及ばない状況だ。

 Kaspersky Labは相対的にはまだ小さな会社であり、社内のリソースも限られているため、あまりに多くのプロジェクトを同時に推進するのではなく、重要なテーマに集中して取り組む戦略を採るべきだと考えている。日本市場での取り組みは、将来的にはわれわれにとって極めて重要なプロジェクトになるはずだが、現時点ですぐに積極的に取り組むにはリソースが不足している。だが、個人的にはすぐに日本におけるブランドイメージが変わり始めたことが明らかになると確信している。

 現時点での日本市場での売上が全体に占める割合は小さい。アジア太平洋地域が売上全体に占める割合は7%で、日本市場はさらにその中に含まれている。ただし、地域ごとの売上比率は、各地域でのこれまでの取り組みの歴史を踏まえたものであり、地域ごとに状況が大きく異なることが重要だ。

 Kaspersky Labは、ロシア国内では11年、ヨーロッパ市場でもすでに7年活動してきた実績があるが、日本市場への取り組みはまだ2年半でしかない。そのため、この地域ごとの売上比率のグラフには、われわれの各地域への参入過程の歴史が反映されていると見るべきだ。

 日本市場の成長率は、今年に関してはほぼ計画通りの推移となった。北米での成長率は向上してしており、これまでの投資が成果を上げ始めた段階だ。日本での成長率は、業界平均と比べれば高い水準にある。今後の成長に関しても、高水準を維持する計画を立てて臨んでいる。

12月4日の講演で紹介された、Kaspersky Labの組織構成(画像をクリックすると拡大します) 12月4日の講演で紹介された、Kaspersky Labの組織構成(画像をクリックすると拡大します)

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