--今回の製品発表では「クラウド」という言葉を多用されていました。NetSuiteとしては「クラウドコンピューティング」というものをどのように定義しているのでしょうか。
個人的な見解も入りますが、「クラウドコンピューティング」は、今現在のコンピューティングインフラストラクチャと使われ方の代名詞である印象を持っています。1980~90年代のコンピューティングが「クライアント/サーバ」と呼ばれたのと同じ流れにあるのではないでしょうか。
--ただ、90年代後半以降には「ウェブコンピューティング」や「ブラウザコンピューティング」という言葉も出てきていました。その時代と現在の「クラウドコンピューティング」では、何が変化したのでしょうか。
両者ともメインのフィーチャーは、「インターネットベースである」という点で、その点で変化はありません。しかし、「クラウド」という言葉のもとでは、対応するデバイスの種類がより豊富になっているのではないでしょうか。当初、AT&Tが通信の分野で「クラウド」という言葉を使いましたが、「クラウドコンピューティング」という表現には、テレフォニーとコンピューティングが、ようやく共存する時代になってきたという意味合いが込められているように感じます。コンピューティングデバイス、コミュニケーションデバイス、ビジネスのためのデバイスなど、さまざまなデバイスの最適化を「クラウド」が行うというイメージです。
そのほか、「クラウド」というコンセプトには、技術的な専門用語で表される以上の範囲が含まれます。例えば、「ソーシャルネットワーク」や「CGM(Consumer Generated Media)」といったコンシューマー視点の概念も、「クラウド」に含まれると考えていいでしょう。「ブラウザコンピューティング」という言葉は、そういった点では、指し示す範囲が狭かったように思います。
クラウドコンピューティング時代において注目すべきは、そこでのインタラクションの透明性です。インタラクションのタイプには、企業と企業、企業と個人、個人と個人といったさまざまなスタイルがあります。そこで、各自のコンピューティング環境の違いが壁にならず、透過性が高まっている点が特徴だと考えています。
--そうした環境の中で、NetSuiteの競合に対する優位点は何だと考えていますか。
アドバンテージは2つあると思っています。
1つめは、NetSuiteが、開発時からクラウド環境を意識して作られた製品である点です。パッケージ製品を後付けで「クラウド対応」させたわけではありません。
もう1つは、アプリケーション全体が最新の技術や要件を取り入れた、モダンな製品として構築されている点です。将来的に、アプリケーションを拡張するにあたっても、従来のクライアント/サーバが基盤にある製品では実現が難しいケースも出てくるでしょう。
実際のところ、我々には10年間の、この分野では既に最長といってもいいキャリアと実績があります。この10年で多くのことを学び、IBMやMicrosoftといった企業よりも経験を重ねているのです。このことは、競合他社に対する優位点であると同時に、お客様にとってのメリットにもなるはずです。