不況の時こそNetSuiteには成長のチャンスがある--ネルソンCEO - (page 4)

柴田克己(編集部)

2008-12-17 18:20

--クラウドに関する話題としては、先日、そのMicrosoftがクラウドOSである「Azure」を発表し、その基盤の上ですべてのビジネスアプリケーションを提供していく計画を明らかにしています。そうした動きは、NetSuiteがターゲットとする市場にどんな影響を与えると見ていますか。

 あえて「クライアント/サーバ」の次の時代が「クラウド」であるという前提で話しましょう。過去を振り返ってみても、コンピューティングの分野で1つの革命を起こした企業が、別の世代でも革命を起こすのは、非常に難しいとされています。

 Microsoftほどの企業であれば「クラウドコンピューティングのリーダーになる」と表明することは可能でしょう。しかし、それを実行に移すのは非常に大変なことです。いわばクライアント/サーバ時代の勇とも言えるMicrosoftが、この次の世代への移行をしっかり行えるかどうかは、ひとつのポイントです。

 この移行が彼らにとって大きなチャレンジである理由のひとつは、クラウドの世界では、WindowsのようなリッチなOSの必要性が下がる点です。彼らがクライアント/サーバ時代に成功したのは、OSとアプリケーションをバンドリング可能な環境を最大限に利用してきたからです。ただ、クラウドの時代にはそうはいきません。彼らが「インターネット」を所有しているわけではないからです。この環境の中で、クライアント/サーバ時代に作り上げた彼らのスタイルが継承できるかどうかは難しい問題でしょう。

 Microsoftは、たしかに強力な企業です。しかし、クラウドコンピューティングの時代にリーダーになれるかどうかは大きなチャレンジになると見ています。

--世界的な規模での景気の後退が、今後、企業のIT投資意欲にどのような影響を与えると見ていますか。

 実際に、金融危機の状況はリアルなもので、世界中の企業に影響しているのは間違いありません。

 個人的な見解ですが、IT市場全体はもしかしたら縮小するかもしれません。しかし、NetSuiteや同様の業態でビジネスを行っている企業にとっては、「コスト削減の可能性を高める」という点で、逆に成長の機会があると見ています。

 例えば、かつて米国ではドットコムバブル崩壊に端を発する景気低迷がありました。そのような状況になると、多くの企業ではCFOの力がより強くなり、CFOが会社のコントロールを取り直すといった対応をとります。その過程で、社内に多数存在しているアプリケーションを見直して、標準化を図る傾向が強いのです。その際に、コストを削減でき、データを有効活用できるNetSuiteのような企業の製品が選ばれる可能性は高いと考えています。

 最後に、世界中のソフトウェア企業を見ても、現在、NetSuiteほどポジティブな状況にある企業はあまりないと自負しています。バランスシートの状態も良好で、競合大手がクラウド分野への投資が難しい状況にあるのと対照的です。市況全体を見ると楽観できない状況にはありますが、われわれのビジネスについては、今後にも非常に大きな期待を持っています。

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