5000人規模のメールシステムをZimbraで刷新した東京薬科大--思わぬ副次的効果も

柴田克己(編集部)

2008-12-22 18:10

 1880年に創立された東京薬舗学校を前身とする東京薬科大学は、長きにわたって薬学、生命科学の専門家を輩出している教育研究機関だ。薬学部、生命科学部の2学部と、薬学研究科、生命科学研究科の両大学院を置き、現在、東京都八王子市のキャンパスでは約3000人の学生が学ぶ。薬学部の6年制に伴い、2010年度にはさらに学生数が増える見込みだ。

 同大学では、今後増加する学生と、教職員を合わせ、約5000人規模で利用するメールシステムを、米Zimbraの「Zimbra Collaboration Suite(ZCS)」で刷新し、2008年10月より運用を開始した。

 メールシステムは、今や組織にとってライフラインと言っても過言ではない、重要なコミュニケーション基盤である。その大規模な刷新にあたって、「機器の買い換えタイミングが重なったのが刷新プロジェクト開始のきっかけだった」と語るのは、東京薬科大学の学務部庶務課(情報処理教育センター担当)である松﨑日出海氏だ。松﨑氏によれば、大学の各部署、学部で利用している機器の入れ替えが重なるこのタイミングは、これまで2学部、2大学院、事務関連の5つのドメインで個別に導入、運用管理を行ってきたメールシステムの統合を図るに当たって、またとないチャンスだったという。

 センター長の加藤氏をはじめ、学内から選出されたメンバーによるネットワーク委員会では、数年前から全学で統一して利用する新たなメールシステムについて数多くの候補の中から検討を重ねてきた。検討にあたっては、薬科大で利用する情報インフラの一部として満たすべき条件が数多く考慮された。

 前提条件のひとつは、まず「インハウスで運用できること」だった。候補としてはASP・SaaS形式で提供されているメールシステムも挙がったが、医療機関と関係の深い大学として、メールデータの秘匿性を高める点で、インハウスでの運用は必須だった。

 ネットワーク運営員である生命科学部の森河良太氏は「ASP・SaaS形式のサービスも検討されたが、やはりデータを外に預けることには不信感が残った。特に東京薬科大学の場合、医療と関係する個人情報がメール上で扱われる可能性もある。データの扱いには可能な限り慎重になるべきだと考えた」と語る。同様にセキュリティ面で万全を期するために、OSにはUnix系のものを用いることが委員会で同意されていたという。

 また「ウェブメール」主体のメールシステムであることも条件のひとつだった。薬科大の学生は年次が進むと、実習として学外へ出ることが多くなる。その際、学生はモバイル環境や携帯電話などから、大学のメールボックスへアクセスすることになる。安全性や利便性の観点からも、クライアント側にメールデータを残さず、携帯電話からもアクセスが可能なウェブメールがベストだとされた。

「ケータイ対応」と「パートナー」が関門に

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