Sunは従来からのGlassFishやNetBeansなどに加え、最近買収したMySQLやVirtualBoxなどの製品を抱えている。これらはオープンソースのプロダクトではあるが、実質的にSunが開発をリードしているものだ。
一方でOracleではFusion Middlewareを中心として、これらと競合する製品を独自に持っており、戦略上はSunのミドルウェア製品を必要としていない。特にMySQLはデータベースベンダーとしてのOracleにとって、将来のライバルになり得る存在だった。
過去のOracleの買収戦略からすれば、しばらくの間は既存顧客を保護しつつ、将来的にはOracle製品へスムーズに移行できる仕組みを提供するというのがもっとも考えられるパターンだろう。
あるいは別の可能性として、影響の大きいSunのプロダクトは独立した形で残し、同社製品群との連携をより緊密にしていくという方向も考えられる。例えば、MySQLは「Oracle Database 11gやTimesTen、Berkeley DB、ストレージエンジンのInnoDBなどのように、既存のOracleデータベーススイートに追加されることになる」としている。MySQLやGlassFish、NetBeansなどの知名度を考えればOracleにとってもメリットの無い話ではない。
OpenOffice.orgが買収を楽観視するワケ
楽観的な要素としては、Sunのミドルウェア製品の多くはオープンソース化されており、(Sunが主導していたとはいえ)社外に独立した開発チームを持っている点が挙げられる。もし仮にOracleがこれらのプロジェクトを切り離したとしても、それがすぐに製品の消滅につながるというわけではない。
例えばSunによる強い支援を受けていたOpenOffice.orgのチームは、今回の買収を楽観的に受け止めていると発表している。
いずれにせよ、プロジェクトの継続や移行、統廃合については買収完了後に緩やかに決定され、混乱の生じないように行われるだろう。したがって急速に何かが変わるということは無いだろうが、Java関連技術をはじめとするSunのプロダクトを利用してきた開発者は近い将来、何らかの選択を迫られる可能性が高い。冷静に状況を見極め、今回の買収を自身にとってのチャンスに変えられるようにしていきたい。