#3:プロキュレーター・テフロニウス(Procurator Teflonius)
和名:「コゲつかない」マネージャー
トニー・ブレア英国前首相は、コゲ臭いスキャンダルとはいっさい縁がなかったため、しばしば、「テフロン・トニー」と呼ばれていた(テフロン加工されたフライパンについたコゲが簡単に落ちるように、彼に対する非難は長続きしなかったのである)。彼はおそらく、この地球上で生息しているプロキュレーター・テフロニウスの最終進化形なのだろう。しかし悲しいことに、目を付けられにくいという優れた性質を持っているため、この種は近い将来において繁栄を謳歌することになりそうである。
プロキュレーター・テフロニウスは「なで肩」体型をしているため、どのような非難もその身の上に留まり続けることができないのである。こういったマネージャーは、ストレートな質問を投げかけられたとしても、ストレートな答えを返そうとはしない。まるで軍法会議の場でその答えが証拠として採用されることを予期しているかのようである。そして何か問題が起こると、こういったマネージャーは決まって、その時その場に居合わせていなかったという証拠を持ち出してくるのである。この手のマネージャーは、あなたがその決断の犠牲者となっている場合には危険な存在となり、そうでない場合であったとしてもどちらかというと不愉快な存在、あるいは穀潰しに感じられるはずだ。プロキュレーター・テフロニウスと打ち合わせを行う際には、常に懐にボイスレコーダーを忍ばせておくことをお勧めする。
#4:プロキュレーター・アブセンシア(Procurator Absentia)
和名:「失われた鎖」マネージャー、あるいは「マネージャーって何?」
みんなが彼を探してる。最初はこちらで、次にはあちらで。
職員みんなで探してる。みんなであちこち探してる。
このマネージャーは絶滅の危機に瀕している。会社がリストラを行う場合、前線で働いている従業員よりもこのタイプのマネージャーを真っ先にクビにしてコスト削減を図るのだ。このようにすることで、重要なスキルが失われるという事態も避けられるのである。
私が現実世界でプロキュレーター・アブセンシアに遭遇した時の話をしてみよう。何年も前、私はTimという若く、感じの良いマネージャーと仕事をしたことがある。彼は作業場所が異なっている2つのチームのマネージャーを務めていた。ある時彼はわれわれ(数名のチーム)の前に現れ、その日は問題が発生しているもう一方のチームで作業をする予定だと告げた。どうやらわれわれは信頼されており、作業の進捗も順調であると思われている一方で、もう一方のチームは絶えず監督する必要のある無能な集団であるようだった。
その後、われわれのチームで緊急事態が発生したため、彼に相談するためにもう一方の作業場所に電話を掛けたところ、驚くべき事実が発覚したのだ。向こうの担当者が言うには、彼はわれわれのチームが無能で、絶えず監督する必要があるため、こちらで作業していると言っていたのだ。彼の嘘は、当時まだ携帯電話が普及していなかったがために露見したわけである。彼はというと、どうやら双方のチームの面倒を見ることを放棄し、ゴルフに興じていたようである。ごめんよ、Tim。この記事を読んでいるのなら、ここではっきり書いておくけど、われわれはずっと前から知っていたんだよ!
#5:プロキュレーター・インシグニア(Procurator Insignia)
和名:「権威ひけらかし」マネージャー
このマネージャーは肩書を刻んだプレートを机の上やオフィスのドアに掲げたり、それに類するバッジを胸に光らせている。さらに、許されるのであれば、肩章を付けたり、ジャケットの袖口の部分に金の縁取りを縫い付けることで階級を誇示しようとするのである。プロキュレーター・インシグニアは驚くほど身勝手であり、部下に自らの車を洗わせたり、ドライクリーニングを受け取りに行かせたりするのだ。このことに疑義を唱えると、オフィスのドアに掲げられたプレートを指さし、「私にはその力がある」という決定的な台詞を口にするのだ。
このマネージャーは自らが呼ぶところの「私のスタッフ」から例外なく無視される傾向にある。また、プロキュレーター・イリジティマス・マキシマスと同様、問題を起こした時には誰からも助けてもらえないのである。両者の大きな違いとして、プロキュレーター・インシグニアの物まねをした方がウケが良いという点を挙げることができるだろう。