マイクロソフトは7月27日、Windows 7の法人向けボリュームライセンスの販売を、日本でも9月1日から開始すると発表した。これに合わせて、法人向け早期アップグレード割引キャンペーンを開始することも明らかにした。
同社では、7月22日に、Windows 7のRTM(Release To Market)版が完成したとして、Windows 7の開発完了を正式に発表。10月22日の一般向け販売に先駆けて、9月1日から企業向けボリュームライセンスの販売を開始することを米国では明らかにしていた。日本でも同日に法人向けボリュームライセンスが発売となる。
マイクロソフト、コマーシャルWindows本部 本部長の中川哲氏は、「製品として出荷するには申し分のないレベルまできている。すでにWindows 7の開発は終了し、現時点では生産工程に入っている」と、完成度の高さと、発売に向けたスケジュールが予定通り順調に進んでいることを改めて強調した。
9月1日から始まる「法人向け早期アップグレード割引キャンペーン」は、2010年2月までの期間限定で実施するもので、「Windows XP Professional」および「Windows Vista Business」ユーザーを対象に、「Windows 7 Professional アップグレード」を、1万9800円の優待価格で提供。さらに通常は有償で頒布しているインストールディスクと、インストール方法を解説した「インストールガイド(仮称)」をプレゼントする。
中川氏は、「現行のWindows Vistaアップグレードの参考価格が2万2600円。また、Windows 7の通常のアップグレードライセンス価格は2万4600円。この点からもお得なキャンペーンであることがわかるだろう。当社の調べによると、法人市場の2台に1台のPCは、Windows 7へのアップグレードが可能であり、今回のキャンペーンによって、Windows VistaおよびXPユーザーを、早期にWindows 7にアップグレードできるように支援していく」とした。
マイクロソフトでは、2009年2月20日から「法人向けWindows 7先行優待キャンペーン」を実施。当初、6月30日までだった期間を8月31日まで延長している。つまり、同キャンペーンの終了とともに、今回発表した新キャンペーンが継続的に実施されることになる。
現在実施中の法人向けWindows 7先行優待キャンペーンでは、過去1年以内にPCを購入した場合など、優待価格でWindows 7 Enterpriseを購入できる3つのプランを用意している。SA(Software Assurance)単体による購入の場合には、1万2000円の優待価格で入手できる。
「キャンペーン効果もあり、SAの販売実績は対前年比で220%となっている。Windows 7に対する企業の高い需要を、開発完了前から手応えとして感じることができている」(中川氏)
発表会では、Windows 7の法人向け製品の提供形態についても説明された。「Windows 7 Enterprise」は、SAおよびEA(Enterprise Agreement)によるボリュームライセンスによる提供のみ。「Windows 7 Professional」はOEM、店頭パッケージ、ボリュームライセンスによる提供が行われる。また、8月1日時点で有効なSA/EA契約を持つユーザーはWindows 7の契約が取得でき、Windows 7英語版のダウンロードが8月7日から行えることなどが明らかになった。日本語版のダウンロードについては、順次提供するとしている。ダウンロードサイトは、TechNet、MSDN、VLSCとなっている。
さらに、ボリュームライセンスプログラムのひとつとして、インストールディスクキットを、9月1日から3000円で頒布するほか、9月以降、Windows 7 Enterprise日本語版の90日間評価版を無償で提供する。
会見では調査会社であるアイ・ティ・アールのシニア・アナリストである生熊清司氏が登壇。Windows 7導入によるコスト削減効果について、同社の調査結果を説明した。
同社の調査によれば、従業員1755人、売上高386億円、約1500台のPCが導入されている中堅企業において、Windows XPからWindows 7に移行した場合、新OSの導入コストを含まない場合では、3年目には65%のコスト削減効果があり、OSの費用を加えた場合でも7%のコスト削減になるとの結果が出ているという。
「Windows XPのサポート期限が2014年4月までであることを考えると、1000台単位のPCの移行には半年から1年のリードタイムが必要であり、2012年ごろまでには決断してなくてはならない。いつかは新OSへの移行の決断をしなくてはならないものであり、新OSの導入コスト負担はいずれにしても避けては通れない。そのコストを含めても、新OSへの移行はコスト削減につながる」とした。