日本オラクルは8月25日、都内にて「Oracle Database Summit 2009」を開催し、同社 常務執行役員 システム事業統括本部長の三澤智光氏が「クラウド時代のOracle Database」と題した基調講演を行った。三澤氏によると、Oracle Databaseはパブリッククラウドとして利用することが可能なほか、同データベースを基盤としたプライベートクラウドを構築することもでき、「“作る”と“使う”を両方実現できるのはオラクルだけだ」と述べた。
パブリッククラウド内のオラクルは「冷凍食品」
三澤氏はまず、オラクルをパブリッククラウドで使う例として「Amazon EC2」を挙げた。同氏はOracle Databaseを冷凍食品に例え、「Amazon EC2は冷凍庫のようなもので、Oracle Databaseをはじめとするさまざまな冷凍食品のメニューがたくさん用意されている。そこから必要なパッケージだけを取り出し、電子レンジでチンとするだけですぐに使えるようになる」と説明した。
「パブリッククラウドの利点は、何と言ってもすぐに使えること。クラウドの中にあるオラクル環境の中から欲しい環境を選択して数回クリックすれば、ほんの10分程度でオラクル環境がクラウド上に完成する」(三澤氏)
こうしてAmazon EC2上に作られたオラクル環境は、自社のデータセンター上に存在するオラクル製品と同様「Oracle Enterprise Manager」で運用管理することになる。このOracle Enterprise Managerは、「クラウド上のオラクルもデータセンター内のオラクルも一元的に管理できる」と三澤氏は述べ、管理の利便性が高いとした。
プライベートクラウドではグリッド活用
一方、プライベートクラウドを構築する際にもOracle Databaseは重要な役目を果たす。プライベートクラウド構築にあたってはまず物理サーバを仮想化して統合することが不可欠だが、「物理統合だけでプライベートクラウドは実現しない。例えば4台の物理サーバを統合して1台に集約しても、論理サーバは4台のままなので管理の手間は物理サーバ4台分と変わらないのだ」と三澤氏。
つまり、物理統合だけでなく、管理の簡素化にも結びつく論理統合が必要だと三澤氏は話す。そこで登場するのがグリッド技術だ。「サーバやストレージなどの物理層を仮想化で統合し、グリッド技術で論理層を統合する。そうすることで、ようやくクラウドにてさまざまなサービスをさまざまな拠点で利用できる“マルチサービス、マルチテナント”が実現する」(三澤氏)
仮想化技術とグリッド技術の両方を活用すれば、リソースの使用効率が上がるだけでなく、信頼性の向上にも結びつく。三澤氏は、グリッドの活用例として、「例えば1台のサーバ内にいくつかの仮想サーバを用意して運用する場合、その1台のサーバがダウンすればさまざまなサービスに影響を及ぼす。Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)を使ってサーバを3台用意すれば、万が一1台のサーバがダウンしても瞬時にほかのサーバが取って代わることが可能だ」と説明した。