また、人事給与に関するデータの柔軟な収集機能も選択のポイントとなった。従来のシステムでは、データの抽出条件が複雑で、必要に応じたデータの収集や加工に手間がかかっていた。また、時間軸をさかのぼるような情報抽出が思うようにできず、結果的にそうした業務は属人性が高くなってしまっていた。ZeeM人事給与では、標準で用意されている「任意検索」機能を使うことで、これらの問題を解決できたという。
合わせて、人事給与システムと、外部システムとのデータ連携の容易さも重要だった。ZeeM人事給与では、DBテーブルのレイアウトが公開されており、それをもとにした社内での開発やカスタマイズ作業が、従来よりも低コストで可能になったという。これにより、従来のシステムでは容易に着手できなかった、人事制度の改訂や細かい運用変更にも柔軟に対応できるようになった。
こうしたシステム面での改良は、人事給与業務の改善に貢献した。グループ全体での業務を見渡せるようになったことで、コンプライアンスの強化を図ると同時に、定型業務については標準化を検討できる下地ができた。また、制度変更や法制対応についてのアドホックな要求にも、従来より短時間で対応できる仕組みができあがった。各種の人事関連資料を容易に出力できるようになったことと合わせて、開発保守費用の削減、個別システムへの二重入力による、人為的ミスの発生リスクを低減できたという。
システム統合でグループ全体での人事戦略推進が可能に
ピジョンでは、2009年8月時点で国内のグループ企業5社の人事給与システム基盤について、ZeeMでの統合を完了している。実際に統合を行ってからの社内の反応も良いという。
情報システム部門においては、システム連携や社内開発、カスタマイズの容易さが評価されている。また、グループ会社の人事給与担当者からは、統一されたシステムにより法令改正などへの対応遅れの心配がなくなった点や、給与業務での時間短縮と品質向上が実現した点が好評だという。
「システムを統合したことで、グループ会社の人事給与担当者が何らかの相談をしたいときに、本社にすぐに相談できる体制ができた。また、システム入れ替えの過程で各社の人事担当者との意思疎通が図れたことも大きい。これで、ピジョンの人事戦略をグループ全体で考えられる状況ができた」(若山氏)
そして、経営部門からも、グループ全体で業務フローと運用フローの統一が実現できた点を高く評価されているという。
同社では、現状5社で統合しているシステムを、2010年3月を目標に、国内のグループ会社7社に適用する準備を進めている。この統合が完了すれば、人事に関する様々なデータの分析を通じた、人件費の最適化や給与業務の標準化を、グループ全体の規模で進めていくことが可能になる。
「1社で1時間の業務改善を実現すれば、それを国内グループ7社に適用することで7時間の業務改善になる。データの可視化、業務の標準化を通じて、さらなる経営効率の向上に取り組んでいきたい」と若山氏は今後の展望を語った。
事例プロフィール(2009年8月現在) | |
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社名 | ピジョン株式会社 |
URL | http://www.pigeon.co.jp/ |
本社所在地 | 東京都中央区 |
資本金 | 51億9959万円 |
代表取締役社長 | 大越昭夫 |
事業内容 | 育児・マタニティ・女性ケア・ホームヘルスケア・介護用品等の製造、販売および輸出入、ならびに保育事業 |
導入前の問題 | グループ会社の業容拡大により、人事関連業務の負荷が増大。また、それぞれに個別の人事給与システムを利用していたため、グループ会社での人事制度の運用実態などが本部で把握できなくなっていた。また、法制度に基づいた内部統制環境の構築が必要とされた。 |
導入した製品 | ZeeM人事給与(クレオ) |
導入結果 | 2009年8月現在で国内5社のシステム統合を完了。各社で異なる人事制度を吸収しつつ、運用状況を見通せる体制が整った。また、グループを通じた業務内容の標準化が可能になり、業務効率が向上した。 |