IFRS適用コストの過半は業務関連--日本IBM、包括支援サービスを発表

田中好伸(編集部)

2009-11-26 12:57

 日本IBMとアイ・ビー・エム ビジネスコンサルティング サービス(IBCS)は11月26日、国際会計基準(IFRS)対応で企業の業務やシステムを包括的に支援するサービスを発表した。

 日本IBMは、欧州企業でのIFRS適用の経験を踏まえて、IFRS適用で必要とされる検討領域を(1)ビジネス、顧客(2)製品、サービス(3)組織、人材、教育(4)ルール、基準(5)業務、プロセス(6)IT、インフラ――という6つに定義している。(1)と(2)が外部対応、(3)から(6)が内部対応に分けられる。

 (1)は、M&Aや知的財産、税務戦略、その対応の見直し、(2)は、顧客や仕入れ先などの取引先との取引内容の見直しがそれぞれの検討内容になる。

 (3)は、シェアードサービスセンターやオフショアなどの共有化や外部活用のあり方を検討。(4)は、グループ会計処理基準、勘定科目の統合、(5)は、業績管理や管理会計の見直し、内部統制の見直し、新プロセスの導入、(6)は、グループ共通会計システムや新基準対応システムの導入、それぞれ検討する必要があるとしている。

 両社がIFRS対応支援サービスとして提供するのは、初期評価基本構想サービスとクイック初期評価サービスになる。

 初期評価基本構想サービスは、6つの領域を中心に、IFRSが影響する範囲を特定、IFRS対応のための課題抽出、解決方針の策定、検証までを2〜3カ月で行う。IFRS適用をきっかけに連結経営を強化、あるいはグループ企業へのガバナンスを強化、といった経営の質を高める支援を行う。

 そこで決められた基本構想を受けて、業務やシステムの設計、システムの開発とテスト、移行、定着化へと進むことになる。IFRS適用は、ITだけの対応ではなく、たとえば有形固定資産や金融商品などの領域別に業務や経理処理方法の決定、日本基準ベースからIFRSベースへの初期移行も含まれる。それらに伴って組織やルール、プロセスなどの変更も必要になり、そうした実行までを包括的に支援するとしている。

 もう一つのクイック初期評価サービスは、IFRSの影響範囲を短期的に見極めるサービス。対応が必要な領域、必要な時間などの初期情報の収集から課題の設定までを2〜4週間で行う。

 これらのサービスでは、IFRSに関する専門知識やプロジェクト経験を持つコンサルタントが支援サービスを提供。システムの導入では、ユーザー企業の状況にあわせてOracleやSAPなどのソリューションを活用するとしている。

 欧州企業のIFRS適用でIBMが支援した事例では、準備に2〜3年を要しているという。IFRS適用で必要とされたコストの内訳は、会計システムをはじめとするIT対応は全体の半分以下であり、コストの過半は、プロジェクト管理や経理規定、経営業務の変更など業務に関連するものという結果になっているとしている。

 こうした経験を踏まえてIBMでは、IFRS適用はもちろん企業の会計処理が中心となるが、同時に企業経営上の各種分野での戦略見直し、処理方法の見直しなどが求められるという。そうした考えから、検討領域を上記の6つにしている。

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