現在進行中の容赦ない従来メディアの斜陽化は、新たな市場状況に適応することができない産業で、ローカルルールが変更されたときに何が起こるかを示している。最近Harvard Business Reviewに掲載されたUmair Haque氏の秀逸な分析では、次のポイントが強調されている。21世紀には、時が進むにつれ、多くの組織が信じたくないほど新しい規範が異質なものに変化していくということだ。
古くから指摘されているイノベーションのジレンマの問題は、新たなビジネス環境がますます馴染みのないものに変わってくるにつれて、より切迫したものになっている。われわれが住んでいる時代では、少なくともネットワーク上においては、これまで常に乏しかった資源(新しいアイデア、既存の知識、生産能力に加え、顧客や競合相手も)が豊富に、無限と思えるほど与えられており、一方これまで十分に供給されていたもの(高額商品に対する幅広い需要、大きなマージン、大広告主のいる少量生産製品やサービス、大企業顧客、その他)が乏しくなっている。
問題はそればかりではない。企業はそのような不確定で急速に変化する環境における自らの将来について議論することに、気まずさを感じている。最近は「呼び出した精霊を壺の中に戻す」という議論まで真剣に交わされている。Rupert Murdoch氏のような、他のことでは賢明なビジネスリーダーも例外ではなく、同氏は真剣に、業界の時計の針を巻き戻すべく、オンラインニュースに対して課金し、ペイウォール(有料コンテンツへの壁)を再設置することを検討していると示唆している。
これらの動きは、縮小しつつある、あるいは死につつあるとさえ言える、驚くほど勘違いをした産業の苦肉の策であり、控えめに言っても、この対応には想像力が欠けている。これらの定期的に巻き起こる議論は、ビジネス世界に曲がり角が到来しつつあること、そして効果的なビジョンが必要とされていることを示している。