経営層は自社の構造改革を目指す、実現にはIT部門との連携が重要--NRI調査

富永恭子(ロビンソン)

2010-01-18 19:17

 野村総合研究所(NRI)は1月18日、2009年9月11〜30日に国内に本社がある大手企業の経営企画部門を対象にした「経営戦略におけるITの位置づけに関する実態調査」の結果を発表した。同調査は2008年に引き続き2回目となる。

 調査では、経営に影響する環境変化として、産業構造や業界構造の変化を挙げる企業が前回より増加しており、構造変化に対する問題意識が高まっているとしている。その反映として、経営戦略では、自社の構造改革の方向性を示す企業の割合が増え、IT戦略では、IT投資対象の選定や評価についての方向性を明記する企業が53.1%と前回より4.9ポイント増えているという。

 これらの結果から、ITによる新たなビジネスモデルや経営管理システムへの方向性を認識する企業が増えており、経営改革の方向に合致した戦略的IT投資意欲は高まっているとしている。

 一方、グローバルなIT運営の方向性について記述している企業の割合は全体で17.6%、海外売上高比率25%以上の企業でも半数を超えた程度という結果になり、グローバル化対応の意識は必ずしも高くないことがうかがわれるという。

 情報システムの設計や開発、運用で「外部サービスを利用していない」と回答した企業は10.9%にとどまり、約9割の企業が何らかの外部サービスを利用しているという。同様に、SaaSやクラウドなどの新しい外部サービスに対しては、ライフサイクルコスト削減、迅速性や柔軟性の確保、最新最適な技術の選択などの効果への期待が高く、環境変化に対する自社のIT対応能力を効率的、効果的に高めようという狙いがみてとれるとしている。

 ただし、IT資産の方針は、アウトソーシングを増やす企業が43.7%、自社開発と運用を増やす企業が35.7%と分かれており、IT資産の自社保有と外部サービス利用の割合をどんなバランスで設計するのか、競争戦略上の観点から検討する必要があるという。また約6割の企業が、経営戦略とIT戦略を一体的に策定することが望ましいと考えているにもかかわらず、そのうちの3分の2の企業で一体的な策定ができていないという問題も指摘している。

 これらの結果を踏まえて同社は、ITを活用して経営が目指す構造改革を実現させるためには、これまで以上に経営とIT部門の連携を進めていくことが重要とした上で、そのためには、IT投資に対して積極的に関与し、リーダーシップを発揮していくことが経営には求められるとの見解を示した。

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