野村総合研究所(NRI)は1月25日、医薬業界向け文書管理ASP型サービス「Perma Document Ver.2.2」の提供を開始したことを発表した。
Perma Documentは、医薬業界での創薬から研究、臨床、申請、製造、市販後といった業務を、社内利用だけでなく他社と共同開発、製造委受託や販売委受託業務を行う際にも、文書を電子化し、安全で改竄できないように一元管理することで、複数社の共同作業、閲覧を可能にする。
最新版のPerma Document Ver2.2では、電子文書と紙文書の関連性を担保し、よりスムーズに電子化できるようにしたという。新たな機能として、電子署名された電子文書をプリント出力する際にサーバ上の電子署名情報やステータス情報などを自動的に印字する「背景印字」機能、新薬申請業務、変更逸脱管理業務などで発生する大量の文書の承認、発効、配布、教育進捗状況を自動管理する「テーマ管理」機能が追加された。
背景印字機能は、文書保護機能に文字背景印字情報を柔軟に設定できるというもの。印刷文書のヘッダとフッタに文書番号や文書名、バージョン、文書の承認状況、有効状況などのサーバ上の文書情報を印字設定することで、印刷後の紙文書とサーバ内の該当電子文書を確実に紐付けられるようになっている。
テーマ管理機能は、文書改訂管理業務を軽減、効率化し、業務に関連する一連の文書の承認、発効状況などを可視化させ、目的とする業務の漏れや遅延、ボトルネックを把握できる。新薬申請業務、変更逸脱管理、標準作業手順書(SOP文書)管理などの業務で進捗管理を統括できるようになったとしている。
医薬業界では、2010年前後に大型医薬品の特許が一斉に切れ、製薬企業各社の収益に重大な影響をもたらすと懸念されている「2010年問題」を迎え、M&Aを見据えたグローバルな業界再編が加速しているという。特に国内企業は、新薬の研究開発体制の確保や製品化までのサイクルの短縮を目指して、海外のバイオベンチャー買収、他社との共同開発、販売提携などの動きが加速化してきている。
そのため、物理的に離れた場所でも業務を迅速に行う必要から、電子文書を正式の文書とする運用ニーズがより高まってきているという。だが医薬業界で電子文書や電子記録を利用する場合には、当局規制に遵守する必要があるため、コスト面や技術面で電子化の加速がしづらい環境にあるといわれている。
NRIは、今後もPerma Documentのセキュリティや使いやすさを考慮した質の高い文書管理機能を充実させることで2011年3月期末までに20社の利用契約を目指すとしている。