CTCなど3社、I/Oの仮想化で協業--クラウドのボトルネックに対応

梅田正隆(ロビンソン)

2010-02-01 21:14

 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、日立製作所、シーゴシステムズ・ジャパンの3社は2月1日、I/O仮想化プラットフォーム分野で協業することで合意したと発表した。協業の第1弾として「仮想I/O統合プラットフォーム」を共同で開発、CTCが販売を開始した。今後3年間で20億円の売上高を目指す。

 仮想I/O統合プラットフォームは、日立のストレージや統合システム運用管理ソフト、シーゴのI/O仮想化コントローラをセットで提供することで、企業のクラウド環境構築を支援するソリューション。専用のテンプレートを用意することで、ユーザー企業は最大2分の1の期間で導入できるという。

 3社で共同の技術検証を行い、機器間の接続やI/Oを仮想化した場合の統合管理や監視などを確認している。シーゴのI/O仮想化コントローラ「Xsigo VP780」でサーバやストレージ、ネットワークの各リソース間のI/Oを仮想化することで、インフラ全体を仮想化できる。I/Oにかかる設備コストを、仮想化技術を使わずに直接接続したときと比較して最大50%削減できるという。

 ストレージの接続検証をより短期間ですますために、シーゴ製品との組み合わせで実績があるという、日立のミッドレンジディスクアレイ「Hitachi Adaptable Modular Storage (AMS)2000」シリーズと統合システム運用管理「JP1」を組み合わせている。

 仮想I/O統合プラットフォームは、仮想I/Oに対応することでサーバやストレージ、ネットワークの各リソースをオンデマンドで組み合わせて利用できる。設計から運用、監視までを総合的に支援し、構築ガイドや教育プログラムなどを提供するとしている。

図 仮想I/O統合プラットフォームのイメージ

 今後は検証結果をもとに、設定例や簡易スクリプトを含めた仮想I/O設定ガイド、設計や監視のポイントや推奨を含んだテンプレートを開発するとしている。また、JP1との連携でI/Oを含めたシステム監視で、システム使用率にもとづいたジョブの自動化を実現するソリューションの強化を4月をメドに図る方針としている。

 サーバとストレージ、ネットワーク機器間の通信経路は、複雑な配線やインターフェースカードで結ばれている。この部分を専用のコントローラで仮想化することで、サーバに対するI/Oリソースの割り当てや変更、サーバの交換作業を単純化できるという。

 サーバとストレージ、サーバとネットワーク機器、それぞれの間に高速共有I/Oバスを持った仮想化コントローラを設置、複数のケーブルで結ばれていたものを1本の高速共有I/Oバス経由で接続に切り替える。これでインターフェースカードを仮想的に作成できるようになるため、インターフェースのスロット数に悩まされずに、I/O環境を構築できるという。

 企業内情報システムの仮想化の普及が進むにつれ、仮想化技術は小規模なシステムから大規模なシステム環境に適用されつつある。また企業の情報システムのクラウド化は、1台のサーバ内で複数の仮想サーバを稼働させることで、IT資産の効率的活用が可能になる。

 だが、データの通信経路であるI/Oに負荷が集中することで、システム全体のレスポンスが遅くなったり、メモリやCPUを増強しても、最適に活用できなかったりと、クラウド環境ではI/Oがボトルネックになる可能性も出てきているとされる。I/O仮想化は、大規模な仮想化環境が稼働している米国では一般化しているとされ、今後日本国内でもニーズが高まると見込まれている。

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