日立と日本オラクル、DBサーバ統合分野で協業--共同で検証やサポートを実施

大河原克行

2009-10-26 13:28

 日立製作所と日本オラクルは10月26日、データベースサーバ統合に関する協業を発表した。日本オラクルのデータベースクラスタリング技術「Oracle Real Application Clusters(RAC)」と、日立のブレードサーバ「BladeSymphony」およびエンタープライズストレージ「Hitachi Universal Storage Platform V」を活用し、既存のサーバ環境の効率的な集約を実現するデータベース統合の検証を完了。これを受けて、日本オラクルのオラクルグリッドセンター内に、「日立-Oracle DB統合センター」を開設する。

三澤智光氏 日本オラクル常務執行役員、システム事業統括本部長の三澤智光氏

 日本オラクルの常務執行役員、システム事業統括本部長の三澤智光氏は、「サーバ統合においては、サブシテスムやウェブサーバの領域では進展しているものの、基幹系となるデータベース統合については取り残されているのが現状。I/O処理の重いデータベースは仮想化ソフトでの統合に課題があるほか、基幹系で求められる可用性に課題が残ること、統合してもデータベースインスタンスが残り、運用管理工数がかわらないという課題がある。大手企業の中では、2000〜3000ものデータベースインスタンスを維持している例が稀ではなく、これらを継続運用するデメリットに対して、日本のユーザーがそろそろ気がつく時代に入ってきた。日本オラクルでは、物理統合でなく、論理層を仮想化することで、可用性向上、運用管理工数の大幅な削減が可能になる」としたほか、「2009年から2010年にかけて、出荷後5年を迎えるOracle Databaseで利用しているIAサーバが国内に約6万台あり、統合の動きやアップグレードの波が間違いなくやってくる」と述べた。

 両社では、オラクルグリッドセンターにおいて、5年前に構築したWindows Server上のOracle Database 9iを、BladeSymphonyの小型高集積モデル「BS320」上のOracle Database 11gに集約する例をモデルケースとして検証。24台のPCサーバで構成していたシステムを、処理性能はそのままに3枚のブレードサーバに統合し、既存のサービスの処理性能に影響を及ぼすことなく、品質を確保できたという。

 検証作業は、性能ベンチマークおよびOracle Database 11gで搭載されている暗号化機能の性能への影響をフェーズ1として検証。さらに、統合手順の確立、統合環境でのサービス配置のベストプラクティスの検証をフェーズ2として展開。続けて、ストレージ統合による付加価値の確認や、ディザスタリカバリおよびOracle Database 11gの新機能への影響などをフェーズ3として検証する。 

 日立-Oracle DB統合センターでは、検証で得られたノウハウを活用し、データベース統合に関するアセスメントや、移行における支援サービスの提供を行うほか、2010年1月以降には、統合環境設計サービス、旧バージョンからのアップグレードやデータ移行を支援するマイグレーションサービス、データベース稼働診断サービスといったデータベースの環境設計や安定稼動の支援を含めた、データベースのシステムライフサイクルをサポートするサービス群の提供などのテクニカルサービスも開始する。

山本章雄氏 日立製作所、情報・通信システム社情報・通信グループ エンタープライズサーバ事業部事業部長の山本章雄氏

 日立製作所、情報・通信システム社情報・通信グループ エンタープライズサーバ事業部事業部長の山本章雄氏は、「情報システム部門では、データベースサーバ統合において多くの課題は解決できるはずという思いはあっても、確証が持てないという状況にある。また、経営者は、コスト面でのメリットが証明できれば、情報システム部門の意見を採用したいという声がある。そうした課題に対して、統合の効果を実証していくのが、今回の協業の狙い。まずは日本での取り組みが中心となるが、検証結果は、重要な成果であり、海外に展開する上でも大きな武器ができた」としている。

 一方、三澤氏は、「今回の日立との協業は、サーバ統合に適したBladeSymphonyにおいて検証を行い、具体的な数値目標を立てて行っているのが特徴。Oracleを販売しているパートナーとしては日立の規模は大きい。日立のサーバではLinuxが中心で動作しているが、そのまわりにはたくさんのWindowsサーバが動いており、この成果が活用できる。ただし、日本オラクルは、特定のメーカーと行うというものではなく、オープンプラットフォームに対しては前向きに取り組む」とした。

山本章雄氏 日立製作所と日本オラクルでは「日立-Oracle DB統合センター」を共同で設立。検証で得られたノウハウを元に、データベース統合に関する各種のサービスを提供していくという。

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