仮想化ソリューションを提供するベンダーとして市場をけん引する立場にあるVMware。同社が1月25日に発表した2009年度の業績は、通期の売上高が20億ドル(2008年比8%増)、第4四半期の売上高が6億800万ドル(前年同期比18%増)だった。年間を通じた売上の内訳は、米国が前年比5%増の10億4000万ドル、米国以外が前年比10%増の9億8500万ドルだ。
日本国内での売上は公表していないものの、「日本では米国以外での伸び率10%という数字よりも高い成長を示した」と、ヴイエムウェア 代表取締役社長の三木泰雄氏は言う。決算発表時には、2010年度の予測も発表され、通期売上高の見込みが24億5000万〜25億5000万ドルで、2009年比21〜26%の増加となるだろうとのことだが、もちろん日本ではこの増加率以上の高い成長が期待されているという。
仮想化インフラがデフォルトに
三木氏は、順調に売上を伸ばした過去1年を振り返り、「大型案件が増えた。大企業では全社でプライベートクラウドを構築するケースが進んでおり、仮想化インフラがデフォルトになりつつある」と語る。また、「小さな案件も数が増えており、新規導入や中小企業でも仮想化が進んでいる」としている。
さらに2009年の特徴として三木氏は、仮想化デスクトップソリューションである「VMware View」の市場が立ち上がってきたことを挙げる。11月には最新バージョンの「VMware View 4」の国内出荷も始まった。View 4では、新機能である独自の「PC over IP」(PCoIP)プロトコルにより、LANやWAN経由でも最適化された環境で仮想デスクトップが利用できるようになっている。
過去には仮想化に対し、パフォーマンスなどを不安視するパートナーやユーザーもいたそうだが、「今ではハードウェアの性能も上がり、長期的に運用面などでコスト削減につながるとの理解も深まったことから、サーバ分野では仮想化が当たり前の技術になってきた」と三木氏。今後も仮想化をサーバのデフォルトインフラとして推進してきたいとしているが、ユーザーの関心は仮想化環境の作成はもちろんのこと、仮想化インフラを構築した後、いかにして運用すべきかということにもあるという。
こうしたユーザーのニーズに対し、三木氏は「VMwareで提供できる機能は、仮想化システムの中の一部に過ぎない。そこでISV(独立系ソフトウェアベンダー)やIHV(独立系ハードウェアベンダー)と連携し、仮想化に適した環境を提供していく」としている。また、導入は進めたいものの、例えばユーザーへの課金など運用方法がわからないというケースもあるため、「導入サポートをはじめとしてさまざまな支援を行うVMwareのプロフェッショナルサービスも充実させていきたい」と三木氏は言う。