NECは2月8日、石巻専修大学から「新・教育支援システム」を受注したことを発表した。4月から稼働する予定としている。
新・教育支援システムは、全学ネットワークと教育用シンクライアントシステムが中核。今回のシステムは、NECとして初めて「Windows 7」に対応したネットブート型シンクライアント環境を構築する。
ネットブート型は、OSやアプリケーションをサーバからロードして、端末側で実行する方式。アプリケーションや周辺機器の制約が少ないというメリットがあるとされ、大学などの教育機関、設計業務などに適しているといわれる。石巻専修大学では350台導入して、5つのコンピュータ室に設置する。
クライアントOSとアプリケーションから構成されるPC環境のディスクイメージをサーバ上で一元管理し、全端末にPC環境を反映させられる。カリキュラムの変更にも柔軟に対応した教育環境を実現できるとしている。PCで構築されていた従来のシステムと比較して、OSのパッチやアプリケーションの更新などもサーバ側で集中管理できることから、運用管理者の負荷を軽減して、総所有コスト(TCO)の削減が見込まれるとしている。
ネットブート後は、OSやアプリケーションを端末側のCPUやメモリで実行するため、万一、不正プログラムなどをインストールされた場合でも、再起動することで正常な環境に復元できるという。
今回のネットブート型のシンクライアントにはシトリックスの「XenDesktop Enterprise Edition」(旧「Citrix Provisioning Server for Desktop」)を採用している。シンクライアント端末「Express5800/51Ma」を350台導入し、サーバは「Express5800/iモデル」を約30台導入する。ネットワークスイッチとして「UNIVERGE IP8800」シリーズを採用、「省電力スケジュール」機能で利用の少ない夜間のネットワークの省電力管理を行い、待機電力を削減する。省電力製品を採用することで、システム全体の消費電力を従来比60%削減できるとしている。
石巻専修大学の新・教育支援システムは、情報処理や語学の教育の受講で活用される。また、経営学部ではビジネスシュミレーションやコンピュータ会計の講義で、理工学部では数理解析や3次元CAD設計、システム開発を含めたものづくりの実践教育などに活用される。
語学教育などの講義では、「Computer Asisted Language Learning(CALL)」と呼ばれるシステムを利用する。ものづくり実践教育では、3次元CADデータからカラー立体モデルを作成できる3次元プリンタシステムを導入して、「Rapid Prototyping(RP)」と呼ばれる方法を活用する。