2010年以降注目すべきEnterprise 2.0技術10選(後編)

文:Dion Hinchcliffe 翻訳校正:石橋啓一郎 2010年03月12日 07時00分

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 本記事では、Enterprise 2.0に関連する注目すべき技術を挙げていく。Enterprise 2.0関連技術の全体像を示し、3つの重要な技術について説明した本稿の前編はこちら

  1. ソーシャルCRM。顧客関係管理(CRM)にソーシャルコンピューティングのアプローチを適用することは、最近かなりの注目を集めている。GetSatisfactionHelpstreamLithiumやその他多くのサービスが、新しい革新的なソーシャルツールを用いて、顧客サポートの費用を削減しながら顧客満足度を上げ、企業と顧客との関係を支援することを狙っている。それと同時に、ソーシャルCRMは、企業と顧客や市場との関係の本質そのものを、今ある顧客サポートや連絡先管理プロセスの形から、より対等の立場で支援し合う長期的な関係へと変えようとしている。ほかの多くのEnterprise 2.0の対象分野と同じで、大手ベンダーはまだこの分野には進出してきておらず、多くの企業は今のところ、技術や製品が成熟するのを待ちながら、顧客との関係にTwitterやFacebookを利用している。しかしこの市場は、今後2年ほどで力強い発展と成長を見せ、黄金期に入ると思われるため、注意が必要だ。
  2. エンタープライズプラットフォームにソーシャルのレイヤを加える。Microsoft SharePointやSalesforce Chatterに見られるとおり、エンタープライズソフトウェアベンダーは、自社の製品にプラットフォームレベルでソーシャルコンピューティングの機能を取り入れ始めている。このやり方には、例えば既存のアプリケーションを横串にして、一貫性のある、統合されたソーシャル機能を追加することができ、セキュリティとID管理も統合できるなど、多くの利点がある。多くのシナリオでは、ソーシャル機能をプラットフォームに緊密に統合することは、実際のビジネス活動には結びついていないこともある個別のEnterprise 2.0製品を単独で導入する場合よりも、便利なものになり得る。しかしそのようなモデルには、ソーシャル機能の最善の組み合わせを選ぶことができないといった欠点もある。ただし、舞台ができあがり、ソーシャル機能が最新のソフトウェアの標準装備になってきたということは確かだ。最大手のソフトウェアベンダーは、来年か、遅くとも再来年までには、製品ライン全体に何らかの形のEnterprise 2.0機能を組み込むことが予想され、これがソーシャルオペレーティングシステムの到来の議論につながっていくと思われる。現在、この分野にはオープンソースのプレーヤーは存在しないと言っていいが、将来は登場する可能性が高い。
  3. アクティビティストリーム。多くのオンライン上の社会的なやりとりのアウトプットは、状況のアップデートや、投稿された写真や動画、共有リンクなど、活動を時系列の逆順で並べたものになっている。その結果は、アクティビティストリームと呼ばれている。Twitterのフィードや、Facebookのニュースフィード、会社のソーシャルネットワークのホームページに表示される、同僚が何をやっているかという情報などが、これにあたる。アクティビティストリームに関しては標準が策定されつつあり、これによって、企業はこの情報の価値を役立てやすくなるだろう。これには、ソーシャル分析、コミュニティ管理、コンプライアンス監視などを含む幅広い手法を用いながら、アクティビティストリームの取得やアーカイブ、経営目標にアクティビティストリームを用いることなどが含まれる。アクティビティストリームは、今後企業でコミュニケーション、学習、状況認識のツールとして用いられることが多くなることが予想される。私の見解では、アクティビティストリームを相互利用できるようにするため、標準をサポートすることが次第に重要になってくるだろう。残念ながら、多くのソーシャルウェブ技術と同様に、企業向けのアクティビティストリームに関する明確な標準はまだないが、私は近い将来、標準が策定されるだろうと考えている。
  4. ソーシャル検索、分析、フィルタリング。Enterprise 2.0は、組織内で利用できる実用的な情報としては巨大なものであり、必要な情報の追跡や発見といった問題は日に日に大きくなっている。この情報の流れを止めたくはないが、これをより管理可能で使いやすいものにしたいのだ。残念ながら、ソーシャルコンピューティング環境の検索、分析、フィルタリングのためのツールはまだ生まれたばかりで、技術的に強力なソリューションはほとんど存在していない。しかし企業は、従業員が仕事に必要な情報を見つけるのに多くの時間を費やす場合があるということに気づき始めており、その一部はソリューションを探し、適用を始めている。ソーシャル検索については、CoveoBaynoteといった企業が、便利なエンタープライズ向け製品を提供し始めている。エンタープライズ向けソーシャル分析もようやく登場しつつあり、主要な製品にはIngage Networks、ConnotateのEnterprise 2.0 BI、IBMが新しく提供し始めたSmart Analytics Cloudなどがある。

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