日本アバイアは3月12日、コンタクトセンターのオペレーター向けソフトフォン「Avaya one-X Agent」(one-X Agent)の提供を開始した。同ソフトフォンは音声通話のほか、ビデオ通話やインスタントメッセンジャー(IM)、デスクトップ画面の共有といった機能をパッケージ化して提供する。
同社ソリューションマーケティング部長である平野淳氏は、「従来のソフトフォンはIMや画面共有といった機能を標準で備えておらず、カスタマイズする必要があった」と説明する。
IM機能は標準プロトコルである「XMPP」を採用。IMでのやり取りや履歴はログとして保存される。また、オペレーターの在席状態をリアルタイムで確認できるほか、ドラッグ&ドロップ操作でメンバーを追加したり、電話を転送したりできる。
IMを使った専門部署への連絡や、画面共有機能を使ったリアルタイムでの状況報告などで、「顧客の問い合わせ手段の多様化に合わせた対応が迅速に行える」(平野氏)とし、「顧客のたらい回しを防げるとともに、サービスの品質を向上できる」と導入の効果を強調する。
one-X Agentは、コンタクトセンター内部のオペレーターだけでなく、在宅オペレーターにも活用できる。コンタクトセンターのオペレーターと同様に在宅オペレーターの在席情報を確認できる。また、ビデオ通話機能で在宅オペレーターを教育したり、コミュニケーションを図ったりできる。
同社システムエンジニアリング部 シニアシステムエンジニアの橋本健氏は、在宅オペレーターの現状について、「ワークライフバランスやコスト削減、災害時の業務継続といった観点から、企業の在宅勤務制度への関心は高まっている」と説明。しかし、導入を検討している企業はわずか10%程度だという。
これについて橋本氏は、「管理者は、在宅オペレーターが何をしているか分からないといった不安感から導入に二の足を踏んでいる」と情報セキュリティ面での問題を指摘。「在宅オペレーターのモラルを高めるにはコミュニケーションの円滑化が必要」としている。
いわきテレワークセンターの東京統括プロデューサーである三浦拓馬氏は、今回のone-X Agentについて、「電話が途中で切れたり、雑音が混じったりするといったこともなく通信の品質を確保できている。在宅オペレーターは今後、ますます拡大するだろう。そのためにはシステムの信頼性が必要である」と述べている。
在宅オペレーターのネットワーク化に向け1994年に設立されたいわきテレワークセンターは、現在約300人のテレワーカーを抱える。三浦氏は、「在宅オペレーターは自己管理の難しさに加えて、仕事の繰り返しによるストレスやモチベーションの低下を招くことがある」と説明しており、「セキュリティ対策とサポート体制、コミュニケーション構築の3つのポイントを押さえれば質は確保できる」との見解を示している。
日本アバイアは今後、在宅オペレーターの普及を促進していくとともに、コンタクトセンターからオフィスへもテレワークを拡大できる製品をラインアップしていくとしている。
one-X Agentは、既存のソフトフォン「Avaya IP Agent」のユーザーインターフェースを大幅に改善した製品。ジュピターショップチャンネル(JSC)のコンタクトセンターにも導入されているAvaya IP Agentでは、深夜帯の応答率の向上や人件費の削減、オペレーターの離職の抑制といった実績を上げている。