この春「新社長」と「新製品」を合わせて披露したファイルメーカーの思惑

大河原克行 2010年04月12日 09時30分

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 パーソナルコンピューティングの黎明(れいめい)期においては、市場に多くのデスクトップデータベースソフトベンダーが存在したが、その多くはM&Aなどを経てかつてほどの存在感をなくしている。そんな中、ビジネス的にはさまざまな経緯をたどりつつも、MacとWindowsのクロスプラットフォームで使え、現在でも根強い支持を受けてバージョンアップを続けている「FileMakerシリーズ」は異色の製品と呼んでいいだろう。

 3月末から4月上旬にかけて、そのファイルメーカーの日本法人には大きな2つの出来事があった。

 ひとつは、2010年3月30日付けで、ファイルメーカーの社長に石井元氏が就任したことだ。

 新社長の石井氏は、1962年7月生まれの神奈川県出身。米国ペンシルバニア大学ウォートンスクールを卒業し、MBAを取得。同大学のジョセフ・H・ローダー国際経営研究所グラジュエイト・フェローでもある。

 アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)のコンサルタントを経て、モトローラ、マイクロソフトにおいて、営業、マーケティング、事業開発のマネジメント職を歴任。その後、スウェーデンに本社を持つセキュリティソフトベンダーであるポイントセックの代表取締役社長に就任。同社がチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズに買収されたことに伴い、同社日本法人の副社長を務めた経歴を持つ。

 「(ファイルメーカー)社長就任の提案を受けたときに、これを断ると自分の人生において、大きな後悔をすると思った」と石井氏は言う。「正直なところ、これまでにファイルメーカーを使ったことはなかった。だが、その可能性の大きさ、ポテンシャルに大きな魅力を感じた。まだまだ日本において、ファイルメーカーの素晴らしさが伝わっていない。それを伝えるのが私の役目」と、新たなフィールドでの仕事に意欲をみせる。

 米FileMaker社長のDominique Goupil氏も、「石井氏のこれまでの経験が、今後のファイルメーカーの発展に大きなプラスとなるだろう。今後、日本においてファイルメーカーの存在感をさらに高めていくことを期待している」と話す。

 日本法人では、2009年9月以降、半年間に渡って、日本法人社長が不在という状況が続いていた。その間、Goupil氏の右腕であるBill Epling氏が、暫定的に、兼務ながらも日本法人社長を務めていた。だが、Epling氏の仕事の配分は、日本に2週間、残り2週間は海外という状況。早期に日本法人社長を探すことが、Goupil氏にとって、大きな課題だった。

 「日本法人には、日本人の社長が必要だと考えていた。その点では最適な人材が見つかった。また、この半年間という期間を利用することで、Epling氏が持つグローバル視点での経営の考え方、手法が、日本法人に直接伝搬できたという点では、メリットがあったのではないだろうか」(Goupil氏)

 石井氏による、日本人社長の半年ぶりの登板で、日本法人が再び積極的な動きに転じることが期待されよう。

 もうひとつの出来事は、同社の主力製品であるFileMakerの新製品として、「FileMaker Pro 11」日本語版が、4月7日に発売となったことだ。米国では、3月9日から発売されていたことを考えると、まさに石井氏の社長就任を待って、日本語版を発売したともとれる。

 FileMaker Pro 11では、グラフ機能を強化したのが大きな特徴だ。グラフ機能を活用するという理由から、Excelを手放すことができなかったユーザーに対して、FileMaker Pro 11への移行を促すための強力な武器と位置づける。

 また、クイックレポート機能の搭載のほか、レイアウト/レポートアシスタントのアイコンを一新するなど、FileMakerを使い慣れたユーザーに対する機能の強化と、わかりやすい操作性との実現を心がけたという。

 さらに、30種類以上のテンプレートを用意したStarter Solutionsに、新たに「請求書」を追加。これを日本のユーザーにも使いやすいテンプレートのひとつとして提供している。

 また、FileMaker Pro 10から搭載されたスクリプトトリガーを活用した新たな機能として、定期的なインポートを実現できるようにした。これにより、データベースを開くたびにExcelやテキストファイルから自動でデータをインポートする設定が可能になっている。「スクリプトトリガーの具体的な応用を機能として提供することで、開発者がより積極的にスクリプトトリガーの魅力を感じてもらえるようにした」(Goupil氏)とする。

 ファイルメーカーの新社長、新製品に共通しているのは、「既存ユーザーの満足度向上」と「新たなユーザー獲得」に向けた施策であるという点だ。果たして、どんな成果がでるのかに注目したい。

Goupil氏と石井氏 米FileMaker社長のDominique Goupil氏と、日本法人の社長に就任した石井元氏

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