日立製作所(日立)は5月7日、省電力かつ高集積なデータセンタ環境を実現する「モジュール型データセンタ」に、サーバなどのIT機器を含めた設備を冷却する冷却装置として冷媒の循環に関する電力が不要な「冷媒自然循環システム」を採用したモデルを追加すると発表した。このシステムの導入により、従来の空調方式に比べ、空調電力コストを最大67%削減できるとしている。販売開始は5月10日。
冷媒自然循環システムは、日立が日立プラントテクノロジーと共同開発した「冷媒自然循環技術」を活用した空調システムだ。ラック型空調機やリアドア型冷却装置、水−冷媒の熱交換器やチラーなどで構成されている。同システムでは、サーバなどのIT機器の熱を吸収した冷媒が気化し上昇する力と、熱交換器により冷却された冷媒が液化し設備の高低差などを利用し下降する力を活用することで、従来必要だったコンプレッサなどの動力源を用いず冷媒を循環させることができ、冷媒循環の電力が不要になる。また、外気温が10度以下の場合はチラーを用いず、外気のみで冷水を冷却できる「フリークーリングシステム」を活用できるため、空調システムにかかる電力コストをさらに低減できるという。
日立ではあわせて、モジュール内の温度や湿度などを管理、監視する「監視制御盤」に、空調機を自動制御できる「機能拡張モデル」を追加し、同じく5月10日から販売を開始する。従来は、センタ内の温度や湿度などの状況に応じ、手動で空調を調整する必要があったが、機能拡張モデルでは自動的に空調を制御できる。また、空調機が故障した場合には自動的に予備の空調機に切り換えるなど、管理者の運用負担を軽減する機能が搭載されているという。
モジュール型データセンタの冷媒自然循環システム採用モデル、機能拡張モデルのいずれも価格は個別見積もりとなる。