Citrix Systemsが5月12日〜14日の3日間、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催した「Citrix Synergy 2010」(Synergy)カンファレンスでは、仮想化とネットワーキング、クラウドコンピューティングを実現するCitrixの最新戦略が発表された。中でも注目を集めたのがクライアントサイドの新しい仮想化ソリューションである「Citrix XenClient」の発表だ。
Intelとの共同作業で開発されたXenClientは、企業システムで使用されるノートPCやデスクトップPC上に構築される仮想デスクトップの集中管理を実現すると共に、Synchronizer技術により、ネットワークにつながっていない状況でも仮想デスクトップ環境を利用することができる機能が提供されている。
Synergyの会場で、XenClientに関する取り組みやIntelとの共同開発、今後の展開などについて、Citrixのデータセンター&クラウド事業部 製品マーケティング担当バイスプレジデントであるIan Pratt氏に聞いた。
XenClientをIntelと共同開発したわけ
Xenの創始者であり、2007年のCitrixによるXenSourceの買収でCitrixのメンバーとなったPratt氏は、XenClientをIntelとの共同作業で開発した理由を次のように語る。
「XenClientは、Intel vProアーキテクチャを統合することで、高い性能とセキュリティを提供できる設計になっている。Intel vProアーキテクチャを採用したのは、このアーキテクチャがXenClientに必要な機能を搭載していたからだ。またXenClientの最大のターゲットは、企業向けノートPCであり、この分野ではIntelアーキテクチャが大きなシェアを占めていることも理由のひとつだ」
Pratt氏は、「しばらくはHPやDellと協力することで、XenClientの機能を両社のノートPCに最適化していくことになる。その後、他の会社のノートPCにも展開していく計画だ」と話す。
具体的には、「次に登場するXenClientは、Mac環境に対応したものになるだろう」とPratt氏。Mac環境は、コンシューマ製品との見方もあるが、iPhoneが企業ユーザーに多く利用されていることもあり、Mac環境に対応することで、さらに大きな市場が期待できる。同氏は、「開発者の多くがMac環境を使っていることも開発のプライオリティが高い理由だ」と話している。