日本IBMは5月26日、x86サーバ「IBM System x iDataPlex 大規模並列処理モデル」を発表した。7月1日から出荷を開始する。
IBM System x iDataPlex 大規模並列処理モデルは、省スペースと高い冷却効率による低消費電力を実現する「IBM System x iDataPlex dx360 M3」に、画像処理向け補助演算装置「GPU(Graphics Processing Units)」を汎用化した「GPGPU(General-Purpose computing on GPU)」を2個搭載している。
この製品に採用されたGPGPUは、1個あたり448個のコアを搭載しており、並列処理ではCPUの20〜150倍の処理性能が実現するという。今回の製品1台では、CPUとGPGPUの合計で、プロセッサコア数は908個となり、1.13テラフロップスの性能を発揮できるという。消費電力あたりの性能が従来比8倍になるほか、性能あたりの価格が従来より約65%低価格となり、同社では「企業や官公庁などが低価格でハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)を導入できるようになる」としている。
一般的にGPGPUは多数のコアを搭載するため、消費電力が大きくなり、多くの熱を発するが、同社は「iDataPlexの高い冷却効率により、GPGPU用冷却ファンの設置が不要となるためファンの消費電力を削減できる」としている。この製品は、金融リスク計算や自動車や建物などの空力設計、モバイルゲームのオンライン配信や医用画像のリアルタイム解析など、画像処理と同様に、大量の浮動小数点演算の同時並列処理が必要なHPC向けアプリケーションに最適なサーバであると位置づけている。概算価格は、1台197万円。42台1ラック構成で9570万円となる。
また同社では、IBM System x iDataPlex 大規模並列処理モデル向け技術支援サービスを7月1日から開始する。既存アプリケーションを今回の製品へ移行することを希望する顧客に、CPUとGPGPUでの作業配分の提案や変更に必要な作業量の見積もり、既存プログラムをGPGPU環境向けに変更、最適化するサービスなどを提供する。POWERやCell Broadband EngineなどのIBM製プロセッサや、IBM BlueGeneなどのスーパーコンピュータ向けアプリケーションの開発エンジニアがサービス提供を担当するという。