「HPCをメインストリームにすることが目標」--Windows HPC Server 2008 R2の戦略を聞く

大川淳 2010年04月14日 19時26分

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 マイクロソフトは、HPC(High Performance Computing)向けの次期OS「Windows HPC Server 2008 R2」のベータ2を公開した。最新プラットフォームの意義、戦略について、米Microsoft Server & Tools Business Group Senior DirectorのVince Mendillo氏に話を聞いた。

--最新のHPC向けプラットフォームの開発では、何が重要なポイントなのか。

 ベータ版開発の工程の中で、日本をはじめ全世界の人々から、フィードバックを受け、我々は製品開発について、どこにフォーカスを当てるかを決めている。その1つが、世界的規模のパフォーマンスを提供することだ。さらに大きな点は、ユーザーのこれまでの投資、蓄積してきたスキルなどを活用できるようにすることだろう。管理や設定をより容易にすることも重要なことだ。ユーザーエクスペリエンスをもっと良くしてほしいとの声も大きくなっている。これらの要望を反映させたのが、Windows HPC Server 2008 R2であり、正式版は2010年後半に投入する予定だ。

--パフォーマンスの向上はどの程度進むのか。

 米LSTCの構造解析ソフト「LS-DYNA」を用いたベンチマークでは、Linuxと同等、あるいはより速いとの結果が出ている。また、世界各国にあるISVのさまざまなアプリケーションによるベンチマークでも、Windows環境はLinuxを凌いでいる。CPUコアの数が増えれば増えるほど、並列コンピューティングの実力も増していく。ベータプログラムの参加者からはベータ1でも、すでに、大きなパフォーマンス改善がみられたとの評価が寄せられていたが、ベータ2ではさらに速くなっている。Microsoftは今後も、並列コンピューティングに用いるアプリケーション開発の面をより洗練し、パフォーマンスの改善に継続して注力していきたい。

--開発環境では、何が変わるのか。

 「Visual Studio 2010」との密接な統合を実現することも大きな意味を持つ。これにより、Visual Studio 2010が分散、並列コンピューティングの開発に利用できるようになり、「HPC Services for Excel 2010」も使えるようになる。並列コンピューティングで重要なのは、プログラミングをより容易に、生産的にすることだ。そのため、.NETの「Parallel Extensions」(並列処理拡張)を取り入れた。ランタイム環境には、C#、Visual Basic、Visual C++などを適応させることができる。また、Visual Studio 2010で興味深い点はWindows HPC Server 2008 R2上で、NVIDIAのGPGPU対応のアプリケーション開発ができるようになったことだ。このほか、インテルの「Parallel Studio」など、サードパーティの技術を幅広くサポートしている。

--ユーザーの既存投資、ノウハウを保護する点での特徴は何か。

 我々は、ワークステーションのクラスタ化を進めているが、ここでは、顧客の既存投資やノウハウをそのまま活用できることに意義がある。つまり、より多くの演算能力が必要になったとき、デスクトップのWindows 7をクラスタの演算ノードとして活用することができるということだ。

--既存の環境にはLinuxもあるが、その点ではどんな策があるのか。

 ユーザーからのフィードバックで多かったのは、インタオペラビリティを高くしてほしいとの点だ。すでにあるLinux環境との共存を望む声が高い。この領域では、複数のパートナーの協力を得て、成果を上げている。Adaptive Computingとの協業では、LinuxとWindows、いずれかではなく両方の環境に対してインテリジェントにジョブを割り当てることができる。また、Platform Computingの技術により、Windows、Linux双方のリソースを集約、統合し、ワークロードとリソース要件に応じたアプリケーションの稼働環境を構築できる。

--ExcelとHPCの融合する環境に大きな関心が集まっているが。

 HPC Services for Excel 2010は、ExcelをWindows HPC Server 2008 R2上に実装することをサポートし、顧客企業がより俊敏に動けるようにする。データ処理をHPCのクラスタリングに移行させることにより、エンドユーザーがWindows HPC Server 2008 R2上でExcelを効率的に活用でき、非常に大きな効果をもたらす。生命保険会社の事例では、ハイエンドのワークステーションによる処理を小規模のクラスタに移行させ、従来14時間かかっていた1700件のワークブックの処理を、わずか2分半で完了できるようになった。Excelはプログラミング環境の側面もあり、高度で複雑な処理も可能だが、そこで、パートナーの力が必要になる。ベータプログラムでは、ISVやVARの協力を得られており、Microsoftと各社の協業によるエコシステムが成長している。

進展するHPCの「大衆化」で中規模企業も競争力強化

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