マイクロソフトの次の10億ドル事業は何か?(ヒント:検索ではない)

文:Mary Jo Foley(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:末岡洋子

2009-08-04 15:34

 業界観測筋の多くがMicrosoftの検索/オンライン広告事業の動向を見守る中、同社には、それほど人目を引かないが着実に足取りを進めている地味な事業がある。

 つい先日まで、そのような事業の代表例として「SharePoint」が挙がっただろう。しかし、SharePointの売上高は10億ドルの壁を越えてしまった(2009年6月30日に終了した会計年度2009年は13億ドルだった)。では、次は何か?Microsoftが短期的に、次のスター事業に育て上げようとしているのはどの事業だろうか?

 Microsoftは米国時間7月30日に開催した「Financial Analyst Meeting(FAM)」で、ヒントとなりそうな情報を明かした--その1つが「Microsoft System Center」だ。System Centerは、Windows--それにLinux/UNIX--クライアント、サーバ、ハイパーバイザーなどを管理できるITプロフェッショナル向けのシステム管理ツールだ。

 最高経営責任者(CEO)のSteve Ballmer氏は金融アナリストを前にして、System Centerはすでに10億ドルラインに到達していると述べた。System Center事業は年成長率30%で拡大しているという。

 System Centerは、Microsoftが今会計年度に大きくプッシュしていくサーバ側製品の1つだ(他には、「Windows Server 2008 R2」「SQL Server 2008 R2」「Forefront Protection Suite」「SharePoint 2010」「Exchange 2010」「Office Communications Server 2010」などがある)。

 Microsoftの代表者は先週、「System Center Online Desktop Manager(SCODM)」は短期的に見て収益をもたらす製品になるだろうと述べた。Microsoftは予算が限られた顧客がコスト節約できるとして自社がホスティングする“Online”サービスを売り込んでおり、SCODMはその1つとなる。Microsoftの宣伝文句は次のようなものだ。「Microsoftがユーザーのデスクトップを管理し、マルウェア対策、デスクトップ設定、遠隔サポート、IT資産管理を提供する。ITプロフェッショナルは、オンプロミス製品に投資したり、サービス向けにスタッフを配置する必要がなくなる」。

 SCODMは「Silverlight」を土台としたもので、現在限定顧客向けにテストを行っているところだ。正式版は2010年に公開を予定している。

 では、2010年以降--検索/オンライン広告分野が何らかの重要な方法で赤字から黒字になる前に--、Ballmer氏はこれ以外にどの事業に賭けるのだろうか?

 Microsoftは、“ビジネスインキュベーション”と称する予備室に多数の技術を抱えている。これらビジネスインキュベーション室にある技術は、年売上高10億ドルには程遠いレベルを目標としている(パートナーによると、Microsoftの最初の一歩は1億5000万ドル〜2億ドルの範囲という)。このグループには、「Windows Server High Performance Computing(HPC)」「Business Productivity Online Suites」「Windows Azure」、それにデスクトップ仮想化、ストレージ(「Data Protection Manager」)、IDサービスなどがある。

 「Windows 7」「Bing」などの製品により、Microsoftは危機を脱したとするブログや記事を見かけるが、Microsoftウォッチャーの中にはBallmer氏退任を求める声もある。MSNBCは、Wall Street Journal購読者のアンケートに基づいた「Steve Ballmer氏は失敗、と投資家」という大胆なタイトルをつけた記事を掲載している(Ballmerを嫌う人の多くは、18カ月前にBallmer氏がYahooを買収しなかったことに憤慨しているYahooの株主ではないかと予想する)。

 以前から私は、Microsoftの幹部があまりにも自社を弱く見せているのではないかと批判してきた。だが、Ballmer氏にはアイディアがなく、組織を延命させているだけとは言い切れないはずだ。Bill Gates氏が一線を退いた後、Ballmer氏の最初の1年は、日々の業務にかかわり、残った痕跡を片付け、優先順位を再度決定するもので、率直に言うならBillの仲間に過ぎない人々を追い出すことだった。事業にフォーカスした投資家が付けるBallmer氏の“成績表”は、来年の今頃には改善しているのではないかと私は興味を持っている。

 Microsoftは会計年度2010年を迎えた。Ballmer氏の技術面での判断は正しいものだろうか?もし正しくなければ、どこを変えるべきだろうか?

この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ

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