IDC Japanは6月7日、2009年下半期(7〜12月)の実績調査をもとに、国内のクライアント仮想化ソリューション市場規模についての分析結果を発表した。同社では、クライアント仮想化ソリューション市場規模は、2010年は1674億円、2014年には4938億円に達すると予測しており、2009〜2014年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は31.8%で推移するとみている。
IDCは、クライアント仮想化ソリューションとして、PC、シンクライアント、携帯情報機器などのクライアントデバイス、クライアント仮想化ソフトウェア、サーバおよびシステム構築費を市場を構成する要素として定義している。同ソリューションの中核となるクライアント仮想化ソフトウェア市場では、2009年下半期(7〜12月)は約29万ライセンスが出荷された。同市場は、2014年には202万ライセンスまで増加するとみている。また、デスクトップ仮想化ソフトウェア市場には多くのベンダーが参入しており、2009〜2014年のCAGRは68.1%と非常に高い成長率で推移すると予測している。さらに、クライアント仮想化の2014年までの累積導入率は、法人向けクライアントPCの稼動台数に対して、35.1%まで拡大するとしている。
一方、シンクライアント専用端末の出荷台数は、金融危機および景気後退から回復し、2009年下半期(7〜12月)の実績値は約6万1138台で、前年比7.2%の成長となった。2010年もこの成長を維持し、シンクライアント端末と合わせた出荷台数は、2014年には35万台超まで拡大すると予測している。また関連サービスを含めたシンクライアントソリューション市場規模は2014年には635億円に達すると見ている。
IDC Japan、PC、情報端末&クライアントソリューションシニアマーケットアナリストの渋谷寛氏は「2009年は国内クライアント仮想化元年となった。2009年後半から、デスクトップ仮想化の本格導入の顕在化、通信事業者によるDaaS(Desktop as a Service)事業者への新規参入、iPhoneなど携帯情報機器へのデスクトップ仮想化技術の実装など、市場を取り巻く環境は急速に変化している。今までのベンダーによる啓蒙活動と、ユーザー企業のクライアント仮想化に対する取り組みが合致し、2010年はクライアント仮想化がビジネス課題を解決するための、戦略的IT投資として有効であることを実証する年となる。同時にROI(投資対効果)を算出、定量化することが、経営層へメッセージアウトする重要な布石となる」とコメントしている。