「PCを買いたい」と一般ユーザーから相談を受けたとしよう。その時あなたは相談者に対し、「どんなスペックのPCが欲しいのか」と聞くよりも、「PCを使って何がしたいのか」と聞くのではないだろうか。この考え方が、AMDが2009年9月に発表した「VISIONテクノロジー」の基礎となっている。日本AMDは6月22日、記者発表会を開催し、VISION戦略をあらためて解説するとともに、この考えに基づいたパートナー企業の新作PCを披露した。
「これまでわれわれは、PCにプロセッサ名の入ったステッカーを貼り、スペックを表示していた。しかしこのステッカーは、PCで何ができるのかという質問の答えにはなっていない」と、日本AMD 代表取締役社長の宮本啓志氏は言う。「これからはプロセッサやスペックについて語るのはやめて、用途について語る。これがVISIONの考え方だ」(宮本氏)
VISIONでは、PCのユーザー層を5つのカテゴリに分けている。メールやウェブを使い、DVDやオンラインビデオ、音楽鑑賞などにPCを利用する「カジュアルユーザー」と、HDビデオ変換や、写真、動画のウェブへのアップロード、音楽CDのMP3変換などを行う「デジタル中級者」、HDビデオや音楽の制作および編集、高度な画像編集、3Dゲームなどを行う「コンテンツクリエーター」、PCで複数の高負荷な作業を同時に行い、大容量の画像やデータを処理し、ハイエンドゲームをプレイし、多くのメモリを必要とするHD画像や映像を制作、編集する「エンスージアスト」、そして3Dアクセラレーションを使ったプレゼンテーションやGPUを使った動画変換を行い、長時間のバッテリ駆動時間を必要とする「ビジネスユーザー」がそのカテゴリだ。
こうして分類したユーザーに対し、AMDでは「カジュアルユーザーには『VISION(ベーシック)』を、デジタル中級者には『VISION Premium』を、コンテンツクリエーターには『VISION Ultimate』を、エンスージアストには『VISION Black』を、ビジネスユーザーには『VISION Pro』用意する」と宮本氏。BlackとProは、今回新たに加わったカテゴリだ。これまでのようなCPU名の入ったステッカーの代わりに、今後はこの5種類のVISIONステッカーがPCに貼られるため、「ユーザーはステッカーを見ればこのPCで何ができるのかわかるようになる」と宮本氏は説明する。