富士通は7月6日、CAE(Computer Aided Engineering)を利用したものづくりのためのソフトを対象とする、「PCクラスタ性能検証センター」を、東京・港区の富士通トラステッド・クラウド・スクエア内に開設した。ものづくりに必要な解析やシミュレーションのアプリケーションを提供するベンダーと共同で、同社の最新ハードとアプリケーションの動作および性能検証を実施し、検証結果を随時公開する。
PCクラスタ性能検証センターは、解析アプリケーションベンダー向けにアプリケーション性能検証用PCクラスタシステムを常設。ブレードサーバ 「PRIMERGY BX920 S2」「PRIMERGY BX922 S2」や、InfiniBand QDRなどを備えており、オープンソースソフトウェアも含め、PCクラスタに最適なOSとミドルウェアにより、動作や性能検証を実行する。検証にあたっては、専任技術者がサポートする。
富士通によれば、すでに共同検証の先行事例があるという。エムエスシーソフトウェアとの事例では、汎用非線形構造解析ソルバー製品「Marc」の新パラレル(並列)ソルバーとDDM(Domain Decompositions Method、領域分割法)計算機能の並列性能の検証を行った。その結果、「DDMと並列ソルバーを組み合わせた場合、逐次実行と比較して、16並列で実行時間を10分の1以下に短縮できることを確認し、『Marc』がスケールアウトにより大きな性能向上を達成できることを実証した」(富士通)という。
また、エクサ・ジャパンとの事例では、熱流体ソフト「PowerFLOW」を用いた直接解法による流体騒音シミュレーションの計算時間の評価を行った。従来、流れと音の同時計算による騒音予測には膨大な計算時間がかかり実用適用が困難であるとされてきたが、この検証では、格子ボルツマン法を採用している「PowerFLOW」の特長である並列性能の高さが192並列(コア数)まで実証されたという。富士通は「軸流ファンの騒音レベルの定量的予測が48並列でも3日以内、144並列ではわずか1日で計算可能なことが確認された」としている。
富士通はPCクラスタ性能検証センターの活用により「企業は流体解析、電磁波解析、衝突解析、落下解析、構造解析など各解析用のアプリケーションを活用したPCクラスタシステムを、効率よく導入することができる」としている。