IPv6への移行で新たな脅威が生まれる危険性--FFRの鵜飼氏 - (page 2)

山下竜大

2010-08-27 18:48

現状で企業が注意すべきは“マルウェア”

 「現状で企業が最も注意すべき脅威のひとつは、メールに添付されて届く“マルウェア”だ」と鵜飼氏は言う。これまでのように、出会い系サイトの紹介メールや怪しい商品の営業メールに添付されて届くのであれば誰もが注意し、添付ファイルを開くことはほとんどない。しかし、企業の人事部門に届いた人材採用への応募メールに添付された「履歴書」という名称のWordファイルであれば、多くの担当者が添付ファイルをクリックしてしまうはずだ。

 このWordファイルにマルウェアが仕込まれていた場合、その企業の人事情報や採用情報、社員の個人情報などが社外に漏えいしてしまう可能性がある。また人事システムが稼働しているサーバで、そのほかの業務システムが稼働していた場合には、その業務に関連した情報も流出してしまう恐れがある。

 鵜飼氏は、「企業は、常にリスクを軽減するための取り組みを行っておくこと、そして攻撃された場合に調査ができる仕組みを導入しておくことの大きく2つのポイントが重要になる」と話す。たとえば、ウイルス対策ソフトに関しては、ほとんどの企業がすでに導入しているが、最近ではウイルス対策ソフトをすり抜けるマルウェアもあり、そのリスクをいかに軽減するかを考えておくことが重要になる。

 鵜飼氏は、「我々は、既知の脅威はもちろん、技術的に難易度が高く、すでに被害が出始めており、さらに将来的に大きな脅威になることが懸念されるセキュリティ上の問題に関する研究開発を行っている企業。セキュリティ上のリスクを軽減するためのたくさんの“武器”を提供することができる」と話す。

 また、単純にセキュリティ対策のコンサルティングを行うだけではなく、「必要なツールが世の中になければ、自分たちで開発してしまうエンジニアが数多く働いていることがFFRの最大の特長であり、強みといえる」と鵜飼氏は言う。

 企業理念が表すとおり、“世界トップレベルのセキュリティリサーチチームを作り、コンピュータ社会の健全な運営に寄与する”ことを目指しているFFR。社名のフォーティーンフォーティ(1440)にも、その思いが込められている。スノーボードが好きな鵜飼氏は、「スノーボードの競技で、3回転(1080度)ができる人はいるのだが、4回転(1440度)は前人未踏の領域。ビジネスでもその領域に到達したい」と話している。

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