日本IBMは12月9日、eDiscovery(電子証拠開示)対応のためのソフトウェア「IBM eDiscovery Analyzer V2.2」を発表した。12月10日より提供を開始する。
IBM eDiscovery Analyzer V2.2は、話し言葉や書き言葉といった自然言語の日本語解析に対応したeDiscovery関連製品。類似文書の特定や関連情報の傾向などを把握でき、その結果、大量の情報から訴訟に関連する電子証拠をより的確に特定、絞り込むことで、eDiscoveryにかかるコストを削減できるという。
一般的にeDiscovery対応のプロセスは、「日々の電子情報の収集と蓄積」「訴訟発生後、当該事案に必要な電子情報の抽出」「法務部門による電子情報の選別と精査」「訴訟向けの形式での提出物作成」「裁判所への電子証拠の提出」といった流れ。情報の選別と精査や提出物作成を、米国の訴訟に詳しい弁護士やeDiscovery専門サービス業者に委託する企業も多いが、外部に委託する場合は、一般的に情報量に応じた課金となるため、あらかじめ対象となる情報をある程度絞り込むことでコストを抑えることが可能だという。また訴訟前に、自社で保有する関連情報を特定できるため、早期対策を講じることもできるとしている。
なお、日本IBMでは今回の発表にあわせ、訴訟関連業務を細かく制御するために、監査担当者、IT管理者などと役割を個別に設定できる「IBM eDiscovery Manager V2.2」も発表している。IBM eDiscovery Managerで検索し、ある程度絞り込んだ情報を、IBM eDiscovery Analyzerによって高度に分析し、さらに情報を絞り込むといった使い方が可能になる。IBMでは、これらの2製品を合わせて使用することで、弁護士やサービス業者に提出する情報のうち、関連がないと判断した情報を約80%削減した米国の例もあるとしている。
IBM eDiscovery Analyzer V2.2の提供価格は、1AUVUライセンスにつき3万600円から。IBM eDiscovery Manager V2.2は、同様に5880円から。
また、上記2製品に「日々の電子情報の収集と蓄積」を行うソフトウェア「IBM Content Collector」を加えたバンドル製品「IBM Content Collector Discovery Analytics」も提供する。バンドル製品は、通常価格が1AUVUライセンスにつき5万5920円からのところ、1400ユーザー以下の場合、1AUVUライセンスにつき2万8500円から提供する。これにより、ソフトウェア単体で購入した場合と比較し、最大約50%安価に購入できるとしている。
eDiscoveryは、電子メールや特許関連文書などの電子情報を対象とした、米国の民事訴訟における証拠開示手続きを定めた制度。米国の民事訴訟では、原告、被告ともに訴訟の当事者が、電子情報を含む関連文書や資料などの情報を互いに開示する義務があり、関連する情報を保管しておく必要がある。しかし、企業内に蓄積されている情報量は膨大で、適切な対象情報の提供に多額のコストがかかることが課題となっている。