EMCジャパンは、ユニファイドストレージの新製品「EMC VNXファミリ」を発表した。EMC VNXは、NASの「EMC Celerra」とSANの「EMC CLARiX」を1つのブランドに統合し、NASとSAN両方に対応するデータ自動階層化機能を実装した製品。ミッドレンジストレージの「VNXシリーズ」と、エントリモデルの「VNXeシリーズ」の2つのラインアップで構成される。
EMC VNXには管理ソフト「Unishpere」が用意されており、NASとSANをGUIとウィザードを通じて操作することができる。また、ストレージの状況を共通インターフェースで一元的に管理するとともに、ストレージ管理の内製化を実現することが可能など、「コスト削減につなげることができる」(EMCジャパン)機能を搭載したとしている。
ミッドレンジ向けのVNXシリーズは、「FAST(Fully Automated Storage Tiering)」と呼ばれる自動階層化機能を備えている。これは仮想のストレージプールを用い、使用頻度の高いデータ領域は高速なSSDへ、低いデータ領域は安価なNL-SASドライブへに移動するなど、自動的に最適なデータ配置を実行する。FASTが提供する機能によってSSDを有効活用することができ、コストを抑えながらパフォーマンスを最大化することが可能になるという。
同製品は基本的にデータセンターや部門システムを対象としており、データベース、メール、業務システムなどのSAN、オフィスデータやCADなどのファイル保存用NAS、仮想化向けストレージなど「企業のほとんどすべてのニーズに対応できる」(EMCジャパン テクニカル・コンサルティング本部 プロダクト・ソリューションズ統括部 マネジャー 中野逸子氏)製品とされる。
VNXシリーズは、最上位機種で最大物理容量1974TBの「VNX7500」を筆頭に5モデルが提供される。参考価格として、中間的な機種の「VNX5300」(最大物理容量2.4TB)では、NASだけの構成の場合で211万4490円、SANだけの構成で237万9615円、SAN+NAS統合構成で271万3620円。2月15日から販売を開始する。
VNXeシリーズは、主に中堅中小企業、あるいは大手企業の拠点向けの製品。エンタープライズクラスのストレージをより簡単に導入、管理できるようシンプルに設計されたストレージで、「専門知識があまりない場合でも使いやすく、設置スペースも大きくならないように設計しており、機能を絞り込んだ」(中野氏)という。最小構成サイズ2Uの「VNXe3100」と、3Uの「VNXe3300」の2モデルを揃えているが、価格は4月の発表予定。4月から販売を開始する。
EMCジャパン 代表取締役社長の山野修氏は、VNXファミリのテーマは「簡単、効率的、お手頃」と話す。これまで「EMCはどちらかといえば、ハイエンドを主としてきた」(山野氏)が、今回の製品はミッドレンジとローエンド領域に照準をあわせている。
その意図は「ハイエンド向けは若干マイナス傾向にあるが、ミッドレンジとローエンドは伸びている」という状況があるからだ。「情報インフラのすべてのラインナップをそろえていきたい。ミッドレンジ、ローエンドでのシェアも高め、ストレージのナンバーワンベンダーを目指す」(山野氏)ことが狙いだ。