IDC Japanは4月11日、国内企業の通信サービス利用に関する調査結果を発表した。同社では、同様の調査を毎年実施しており、今回が7回目の調査となる。
これによると、回答企業のうち、過去1年間にWANトラフィックが「増加した」と回答した企業は全体の36.4%となった。他の回答では「変わらない」が55.5%で最も多く、「減少した」は3.2%に留まった。また、WANトラフィックが増加したと回答した企業にその増加率をたずねたところ、「10~20%未満」が51.5%と過半数を占め、続く、「20~50%未満」の24.0%、0~10%未満の20.4%を大きく上回る結果となった。
同調査では、WANトラフィック増加の理由についてもたずねている。増加の主な要因としては、「WAN経由でのアプリケーションなどの利用(人数、頻度など)の増加」(56.6%)、「WAN経由で利用するアプリケーションなどの増加」(43.4%)の2つが、「接続拠点の増加」(23.0%)、「データの置き場所の変化」(19.4%)などの他の回答を大きく上回っており、ユーザー企業におけるWANトラフィックの増加の多くがアプリケーション利用に起因するものであることがうかがえるとしている。
このほか、WANトラフィックの増加に関連して、帯域確保型WANサービスの主流である広域イーサネットとIP-VPNの契約帯域の経年変化についても分析を行っている。その結果、広域イーサネットを利用している企業の契約帯域の分布は前回調査より高くなっており、4年連続で拡大が見られた。一方、IP-VPNでは、過去3年連続して契約帯域の縮小傾向が見られたが、今回の調査では広域イーサネット同様、契約帯域の拡大傾向が見られたという。
IDC Japan コミュニケーションズ シニアマーケットアナリストの小野陽子氏は「インターネットやモバイルなどの分野ではトラフィックの急激な増加が課題となっているが、今回の調査で、企業のWANトラフィックも増加傾向にあることが明らかになった。ただし、動画、PtoP、ウェブなどがトラフィック増加の主要因となっているコンシューマー市場と異なり、企業市場ではアプリケーションの利用がコントロールされていることから、WANトラフィックの増加率はコンシューマー市場と比較して低くとどまっている。今後、回線の低価格化やXaaS、シンクライアントなどの普及が予測されることから、WANトラフィックは着実に増加していくと予測される」とコメントしている。