IDC Japanは5月17日、国内ルータ市場の2011年~2015年の予測を発表した。これによると、2011年の国内ルータ市場は、東日本大震災の影響により2010年の回復基調から再びマイナス成長に転じるという。
ユーザーセグメント別にみると、企業向けルータ市場においては、経済活動の停滞から企業の投資抑制傾向が強まり、2010年を下回ると予測している。また、経済状況の悪化に伴って、通信事業者の投資延伸や、消費者の消費意欲減退なども起こり、通信事業者向け市場、コンシューマー向け市場共に市場規模は縮小するとみている。これらから、2011年の国内ルータ市場は、前年比6.6%減の1261億3500万円になるとIDCでは予測している。
一方で、2012年は経済状況の回復と2011年の反動でプラス成長に転じるという。2012年以降については、出荷台数は増加する一方で、売上額は横ばいになると予測している。コンシューマー向け製品の増加がけん引し、出荷台数における2010年~2015年の年間平均成長率(CAGR)は3.1%となる一方で、エンドユーザー売上額は同0.5%になるとしている。
2010年のベンダーシェアについては大きな動きは見られず、通信事業者向け売上が高いシスコシステムズ、ジュニパーネットワークス、アラクサラネットワークスの上位3社に、SOHOルータ(平均購入価格が11万円以下の企業向けルータ)市場で首位を維持しているヤマハが続いた。大きな変動がない中で、アルカテル・ルーセントは国内の通信事業者でも同社通信事業者向けルータの採用が拡大したことからシェアポイントと順位を上げているという。
IDC Japan コミュニケーションズ シニアマーケットアナリストの草野賢一氏は「企業向けルータの低廉化/下方マイグレーションに対して、ベンダーにはプロアクティブな対応が求められる。企業ユーザーのコスト削減に伴う購入金額低減の動きに先行して、製品ラインアップの再編をすべきである」とコメントしている。