IDC Japanは4月20日、国内企業のデータ保護/DR(ディザスタリカバリ)対策の分析とクラウドサービスへの移行に関する調査結果を発表した。
同調査は、国内ユーザー企業のバックアップ運用、DR対策の現状、課題、ニーズなどを知るため、IDCが行ったユーザー調査の結果を分析したものとなる。これによると、DR対策に対する2009年から2010年にかけての支出増減、2010年から2011年にかけての予算増減に関する調査結果では、「増加」の回答が「減少」を大きく上回っており、DR対策への投資には回復が感じられる結果になったという。なお、この調査は東日本大震災の前(2010年10月)に行われたものであり、今後さらに既存DR対策を見直す動きが需要として加わる見込みとしている。
同調査では、サーバ統合もバックアップ運用に変化をもたらす要因であることが分かったとしている。多くのユーザーが「バックアップ運用の複雑性増加」を新たな不安と考えており、実際に、仮想化ソフトウェアを利用したサーバ統合においては比較的小規模な統合であっても、ユーザーは仮想サーバのバックアップに課題を感じていたという。
もう1つ国内IT市場で注目される動向としてクラウドサービスの利用がある。オンラインバックアップサービスを利用したデータ保護は、その典型的なサービスと考えられるが、同調査時点で、バックアップ運用をサービス利用へと移行する動きは活発ではなかったという。一方で、ユーザー企業はオンラインバックアップサービスに対して自社向けのカスタマイズを希望する割合が高いなど、潜在ニーズの高さをうかがわせる結果も出ているという。
IDC Japan、ストレージシステムズ リサーチマネージャーの鈴木康介氏は「国内企業のバックアップ運用は、保守的に従来からの運用を続けるユーザーと先進的にテクノロジを導入するユーザーの格差が広がる状況にあった。今回発生した東日本大震災を契機に事業継続管理やITシステムのDR対策を再考する企業が増えるはずだが、それぞれに抱える課題や支出可能な資金は企業によって様々に異なる。ソリューションベンダーはシステム構築だけでなく、クラウドサービスの利用を含むROIの高い提案を準備し、対象顧客ごとに訴求点を変えるなど、きめ細かいセールスアプローチが必要となる」とコメントしている。