震災の影響で半導体ウェハ生産高は世界で10%減--IDC予測

ZDNET Japan Staff

2011-04-14 15:09

 IDC Japanは4月14日、東日本大震災による国内IT関連事業所への影響や復旧の見通し、2011年の生産へのインパクトに関する調査結果を発表した。

 これは、IT製品に使用される48の素材について、50のメーカーの68事業所にわたって、復旧までの期間と、2011年の生産高へのインパクトをまとめ、その見通しを示したもの。これによると、半導体産業では世界シェアの55%を占めるウェハファウンドリの3拠点が停止しため、半導体メーカーへの供給不足が2011年の世界のウェハ生産高に10%のインパクトを与えると予測している。ただし、エルピーダメモリでは7月末までのウェハ提供については供給を確保したと発表している。

 自動車向けのSoC(System-On-a-Chip)の分野では、世界シェアの75%を持つ事業所が被災した。自動車業界から150人以上の応援を受けて復旧に当たっているが、生産再開は7月以降となる見通し。5月下旬以降、6月末までは供給に見通しが立っておらず、多くの自動車メーカーでの一時的な操業停止が避けられないだろうという。こうしたことから、2011年の自動車向けのSoC生産高は14%の減少が見込まれるとしている。一方で、この事業所で製造していた携帯電話用の製品の一部は、すでに台湾のTSMCへの製造委託を始めており、影響は軽微となる見込みという。

 そのほか、半導体の洗浄液の原料となる過酸化水素の国内シェア60%を有する化学工場が、コンビナート全体の被災により停止している。復旧には数カ月かかる見込みだが、他の事業所の回復により、40%の生産量を確保できる見通しという。IDCでは、2011年の国内生産高への影響を14%と予測している。

 IDC Japan、リサーチバイスプレジデントの中村智明氏は「半導体ウェハについては、海外のウェハファウンドリでの増産が見込まれるが、産業の米ともいわれる半導体産業の国内製造者の地位の低下に直結するため、早期に復旧の見通しを立てることが重要である。SoCの供給不足については、組み込みシステム向けのLSIはIT市場のみならず、日本の製造業全体を支える重要な部品であり、自動車メーカーにとって、1日も早い復旧が必要となる。4月8日に政府から発表された計画停電の原則停止は朗報だが、むしろ優先的に電力供給を行う配慮が必要である。中長期的にはスマートグリッド化を加速し、個別に需給バランスのコントロールをきめ細かく行える欧米スタイルの電力管理に早く追いつくことが国家戦略として求められるだろう」とコメントしている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]