東日本大震災、復興の今--富士通アイソテック

大河原克行

2011-05-18 12:37

 東北地方を襲った東日本大震災。多くの生産拠点が被害を受けたが、福島県伊達市にある富士通アイソテックもその中の一社だ。

 富士通のデスクトップPCを生産する富士通アイソテックの、被災から復旧、そして復興に歩み始める様子を追った。

震災がフル稼働中の生産ラインを襲う

 富士通の国内向けPCサーバ、デスクトップPCを生産する富士通アイソテックは、福島駅から車で約30分。福島駅からは、阿武隈急行を使い保原駅で降りるのが最寄りだ。取材に訪れた4月中旬には、阿武隈急行はまだ部分開通の状態。震災の影響が大きいことを物語る。

富士通アイソテックの生産棟。1階でPCサーバを、2階でデスクトップPCを生産※クリックで拡大画像を表示 富士通アイソテックの生産棟。1階でPCサーバを、2階でデスクトップPCを生産※クリックで拡大画像を表示

 3月11日午後2時46分に発生した東日本大震災で、福島県伊達市の富士通アイソテックは震度6弱の地震に見舞われた。

 最初の揺れはそれほど大きいものではなかったが、時間が経つにつれて揺れはだんだん大きくなっていった。

 そのとき、生産ラインでは年度末需要にあわせてフル生産体制を敷いており、デスクトップPCだけでも約200人が作業していた。

 最初こそ作業台の上にあったPCやサーバを押さえていたスタッフだったが、揺れが大きくなるのに従い、身の危険を感じ始め、すぐに逃げ出した。

 生産中のPCは作業台から落ち、部品がそこらじゅうに散乱し始めた。その後の余震で、天井からは大型エアコンが落下。天井を這っていた空調ダクトやケーブルが落ち、壁もはがれ落ちた。すぐに屋外に逃げ出したことで、約1000人の従業員は全員が無事だったが、生産ライン上にあった約1000台のPCや、500台弱のPCサーバは廃棄しなくてはならなくなった。

被災したデスクトップPCの生産ラインの様子。多くのマシンが床に落ちてしまった※クリックで拡大画像を表示 被災したデスクトップPCの生産ラインの様子。多くのマシンが床に落ちてしまった※クリックで拡大画像を表示
PCサーバの生産ラインでは作業台からマシンが落下してしまった※クリックで拡大画像を表示 PCサーバの生産ラインでは作業台からマシンが落下してしまった※クリックで拡大画像を表示
天井から空調ダクトが落ち、什器が倒れている※クリックで拡大画像を表示 天井から空調ダクトが落ち、什器が倒れている※クリックで拡大画像を表示
天井がはがれ落ちている※クリックで拡大画像を表示 天井がはがれ落ちている※クリックで拡大画像を表示

事前に策定した事業継続計画に則って行動

 富士通のパソコン事業部門では、被災した際の事業継続計画を事前に策定。これに則り、ノートPCを生産する島根富士通に、デスクトップPCの生産を一部移管することを決めた。本来のルールならば、その日のうちに意思決定することになっていたが、相次ぐ余震で工場内部に立ち入ることができず、状況確認に遅れが生じ、移管を決定したのは震災から2日後のことだったという。

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