ソーシャルメディアにも対応--アバイアが狙うコンタクトセンターの“復権”

田中好伸 (編集部)

2011-05-30 16:41

 消費者の声をいかに集めて企業のサービスや商品に役立てるか――。こうした命題は今に始まったことではなく、昔からあるものだ。だからこそ、ネットが当たり前となった現在であれば、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアにうずもれている声を見過ごすことはない。ここ1~2年でソーシャルメディアをマーケティングツールとして活用する企業が増えており、ソーシャルメディア上のデータを分析の対象とする企業も増えている。

 SAS Institute JapanはソーシャルメディアをSaaSで分析する「SAS Social Media Analytics」を2010年11月から提供しており、SAPジャパンもビジネスインテリジェンス(BI)ツールの最新版である「SAP BusinessObjects Business Intelligence 4.0」でソーシャルメディアも含めた非構造化データを解析する機能を搭載している。NECビッグローブの「感゜Report」(かんどれぽーと)は、企業が提供する商品やサービスの反響をブログやTwitterから分析するというサービスを始めている。同じく通信系のNTTコミュニケーションズが2月から提供している企業向けTwitter/Facebookクライアント「CoTweet」は、TwitterやFacebookに流れる消費者の声を把握するというものだ。

 しかし、思い出してほしい。大手企業や中堅企業で消費者に製品を提供している企業ならば、たとえば「お客さま相談窓口」などの名称でコンタクトセンターがあるはずだ(ちなみに今、筆者の手元にはいつも通り缶コーヒーがあり、その缶コーヒーには「お客様相談室」として住所とフリーダイヤルの番号が記載されている)。ならば、ソーシャルメディアにある声も、このコンタクトセンターで対応させた方がいいだろうと考えているのが、コンタクトセンターソリューション大手の日本アバイアだ。

 日本アバイアの平野淳氏(ソリューションマーケティング部長)は、「人海戦術によるソーシャルメディア対応は非現実的。効率的にソーシャルメディア上での顧客対応を行うニーズがある」と現在の状況を、このように説明する。企業が稼働させている「コンタクトセンターはすでに顧客対応をしている部署であり、顧客対応経験をソーシャルメディア対応に活用できる。これは既存のIT資産の有効活用でもある」(平野氏)と指摘している。

 TwitterとFacebookの声にコンタクトセンターで対応する同社のソリューション「Social Media Manager」は、同社のコミュニケーション基盤製品群「Avaya Aura」とコンタクトセンターソフトウェア「Avaya Aura Contact Center」の上で稼働する。Social Media Managerは、ソーシャルメディア上の消費者の声を自動的に監視して、企業があらかじめ設定してあるキーワードに応じて、コンタクトセンターにいる、専門知識や経験があるオペレーターに顧客対応を振り分けるというものだ。オペレーター向けのマルチメディアに対応するデスクトップアプリケーションにソーシャルメディア対応機能がシームレスンに統合されることで、コンタクトセンターの基盤を利用してソーシャルメディア上の顧客対応を実現できるとしている。

 平野氏は、現在の企業のソーシャルメディア活用について「データマイニングを行った後で、どの部署に対応させるかを決めていないことが多い」と指摘している。企業でソーシャルメディアを活用すると決めた後の運用の段階になると、マーケティング部や広報部、ウェブ関連事業を展開する部署が主導しているケースが多いのが実情だろう。

 だが、この現状に対して日本アバイアは、ソーシャルメディア利用者の急速な増加に伴い、より効率的で、かつ的確にソーシャルメディア上での顧客対応を行うニーズが高まっていると分析。加えて、情報の優先順位付けや最適な専門担当者に確認する手間と時間がかかるという課題があるとも分析している。日本アバイアが提供するSocial Media Managerは、同社のこうした分析が背景にある。

 Social Media Managerは「Social Media Gateway」と「Social Media Toolkit」という2つのソフトウェアで構成されている。価格は「200万~300万円程度」(平野氏)という。Social Media Gatewayは、企業があらかじめ設定したキーワードに応じて顧客の声を自動的にモニタリングするソフトウェア。Social Media Toolkitは、Social Media Gatewayで集めた顧客の声をキーワードに応じて最適なオペレーターに振り分けるロジックを定義するソフトウェアだ。

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