Social Media Gatewayは、「Visual Classification Workbench」と呼ばれる機能を搭載している。この機能は、設定されたキーワードでソーシャルメディアから取り込まれたデータの内容が、クレームなのか営業なのか、それともサービスに関するものなのか、内容を仕分けるものだ。その仕分けられたデータが、内容に最適なオペレーターに振り分けられることになる。
Social Media Managerはあくまでもコンタクトセンターを対象にしたものだが、その対象をコンタクトセンターの外側にも広げることができる。同社の研究機関であるアバイア研究所の本田浩一氏(製品導入推進グループソリューションエンジニア)は、「たとえばマーケティング担当、広報担当などに振り分けることもできる」と説明する。
コンタクトセンターの現場で働くオペレーターは、顧客対応という意味では最適だが、TwitterやFacebookの声はお客様相談室では対応しきれないものもあることが容易に想像できる。そうした声にも企業として対応していくためには、コンタクトセンターの外側にいる部署でも担当者を決めて、必要に応じて対応することも重要だろう。Social Media Managerでは、そうした仕組みも可能になる。
考えてみれば、お客様相談室に電話をかけてくる消費者というのは言ってみれば“ラウドマイノリティ”であり、ソーシャルメディアにある声とは、反対の“サイレントマジョリティ”ととらえることができる。最近のマーケティング分野でソーシャルメディアが注目されるのは、サイレントマジョリティの動向をつかもうという動きとも指摘できる。今回日本アバイアが狙うのは、コンタクトセンターという場所が、ラウドマイノリティとサイレントマジョリティの両方に対応するものにもなり得るというものだ。
“需要が蒸発した”といわれる2008年9月のリーマンショック直後、コスト削減策の一環としてコンタクトセンターを廃止した企業は少なくなかったといわれている。コンタクトセンターは利益を生まない“コストセンター”と認識されていたためだ。だが、顧客の声が集約されるコンタクトセンターは本当に利益を生まないのだろうか(ジュピターショップチャネルのようなテレビ通販にとって、コンタクトセンターは「生命線」だ)。
企業が提供する商品やサービスを実際に購入した顧客からの声は、クレームにしろ要望にしろ、次につながるヒントが隠されているはずだ。コンタクトセンターは確かに短期的には利益を生むことがないかもしれないが、コンタクトセンターに集約される声から新しい商品やサービスを開発できるとすれば、長期的視野に立ってみると、利益を生む場所となることができるはずだ。もし、あなたの会社がまだコンタクトセンターを稼働させているのならば、その位置付けをもう一度考えてみるべきだろう。電話であれ、ソーシャルメディアであれ、顧客の声は常に至るところに溢れている。その声をどう聞くかは、あなた次第だ。
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