IDC Japanは6月8日、国内マネージドプリントサービス(MPS:Managed Print Service)市場の2010年売上実績と、2015年までの予測を発表した。
これによると2010年の同市場売上は256億7500万円で、前年比21.3%の増加となった。IDCでは国内MPS市場の2010年~2015年の年平均成長率(CAGR)を8.7%、2015年の市場規模を389億3000万円と予測している。
MPSとは、プリンタや複合機が導入される際に、ベンダーが顧客のプリンティング環境のアセスメントに基づく最適配置を実施し、導入後の運用管理をアウトソーシングの形で受託することで、継続的なプリンティング環境の最適化を行い、コスト削減と生産性の向上を実現するサービスのこと。
HCP(Hardcopy Peripheral)ベンダーは、長期間にわたってMPSを提供することで、安定的な収益を期待でき、顧客に様々なサービスを提供する機会を得られる。一方の顧客にとっては、コスト削減だけでなく、プリンティング環境の管理・運用をアウトソースすることで、本来の業務に集中でき、生産性の向上を実現できる。このため、シェアの拡大と顧客を維持するための有効なソリューションとして、多くのHCPベンダーがMPSに注力している。
2010年は、政府の積極的な経済対策や新興国の旺盛な需要により、景気は穏やかに回復したが、企業のコスト削減の流れは変わらず、HCPベンダーによる積極的な販売活動も奏功して、国内MPS市場は前年比21.3%増となった。2011年の同市場は、前年比成長率13.4%、市場規模291億2800万円になるとIDCでは予測している。
東日本大震災や、首都圏を中心とした電力不足により景気の先行きに不透明感はあるものの、コスト削減のみならず、プリンタや複合機を資産として所有せずに利用するMPSは大企業を中心に着実に浸透していくとみている。MPS市場は、今後も堅実な成長が期待され、2010年~2015年のCAGRは8.7%と予測している。
IDC Japan ハードコピー・ペリフェラル&デジタルイメージング グループマネージャーの宮園隆氏は「国内MPS市場は、大企業を中心に成長が期待される。より一層の成長には、中堅企業への浸透が必要であるが、顧客の意識の改善、サービスを低コストで販売・提供する体制の整備など解決すべき課題は多い」とコメントしている。