いよいよ「夏」がやってくる--節電対策の考え方 - (page 3)

大河原克行 2011年06月10日 18時03分

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 ベンダー側のサーバ、ストレージにおける節電提案も加速している。

 NECは従来製品に比べて消費電力を最大26%削減したサーバや、50%削減したストレージを相次ぎ投入。サーバでは、消費電力のピーク制御により電力を大幅に抑制。ストレージでは、未使用領域までMAID(Massive Array of Inactive Disks)機能を活用することで、未使用ディスクを省電力状態にしておくことを可能とした。さらに、エアフローや冷却部材を見直したことで、動作環境温度を従来の35度から40度に引き上げた「40度稼働」を実現することで、空調電力の削減が可能になるとしている。

 また、日本オラクルでは、サーバの電力制御、フラッシュ/ディスク/テープによるストレージの階層化、デスクトップの仮想化とシンクライアント化、高性能マシンへの統合、データセンターの冷却効率向上といった観点から電力削減策が必要だとし、コンサルティングサービスなどを通じて、節電への提案を加速する。

 「特に、階層型ストレージ環境の構築が電力削減には効果的であり、I/O性能で比較した場合、フラッシュの消費電力はHDDの2000分の1、容量で比較した場合には、テープはHDDの100分の1の消費電力で済む」として、テープやフラッシュなどと併用したハイブリッドストレージソリューションを提案する考えだ。

 一方、日本IBMは、データセンターや店舗、工場、オフィスなどの節電対策支援や、危機管理、事業継続のための計画策定および実行支援、IT災害対策計画および実行支援に加え、日本IBMの10年に渡る経験を活用した在宅勤務支援や、ネットメディアでの自社や事業に関する風評を分析し、その対策立案とアクションを支援するグローバル風評分析などのソリューションを提供。特に節電対策については、「省電力機器への切り替え、照明、PC、空調、エレベータなどの節電だけでは、企業で目標とされる電力削減水準には到達しない。勤務形態の変更、東京電力圏からの西日本地域や海外シフトなどへの取り組みも必要であり、本社機能を集中から最適化した仕組みへと変更すること、実効性のあるe-work環境の実現などが必要になる」(日本IBM グローバル・ビジネス・サービス事業 コンサルティング&SI統括の椎木茂専務執行役員)と、広い視点からの改革が必要だとする。

 IBMでは、1970年比60%減のエネルギー削減を行ってきた実績を背景に、節電に対するトータル提案を行っていく考えだ。

電力不足を楽観視してはいけない

 調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)では、「国内企業が電力危機を乗り切るデータセンター対策について緊急提言」を公開。このなかで、「企業IT部門は電力供給不足を楽観視することは極めて危険。企業は節電規制への対策を早期に打ち立てるとともに、急きょ計画停電が発動された場合のシナリオについても想定しておくべきだ」とする。

 データセンターを活用したシステム運用を行っている企業では、「大手のデータセンターでは、計画停電や想定外の停電に対しても、自家発電機を備え、燃料会社との優先契約を行っているため、停電時でも安定した運用が可能になる。事業継続性は担保されていると考えていいだろう」とする一方で、社内にサーバを設置している企業は、これまで以上に踏み込んだ対策立案が必要であると指摘し、「オフィスビルの一角を改造したサーバールームで運用している例が多い中堅・中小企業では、自家発電機を備えていない場合が多く、停電時にシステムの稼働停止が発生する可能性が高い。また、自家発電機を備えている企業でも、十分な需要予測と稼働検証を行い、安定稼働に備える必要がある」とした。

 さらに、計画停電時には、シャットダウン、停止、再起動、動作確認に至るまで、約4時間に渡るシステム停止が断続的に発生する可能性があることや、サーバ機器のシャットダウン手続きを明確化しておかなければ、正常な再起動ができなくなるというリスクが発生することも指摘。自家発電装置での稼働には、多くの燃料コストがかかることや、発電装置を安定稼働させるための燃料確保に対しても万全の準備が必要であることを示した。

ITRが示す「電力危機に向けた検討事項」(出典:ITR)※クリックで拡大画像を表示 ITRが示す「電力危機に向けた検討事項」(出典:ITR)※クリックで拡大画像を表示

 ITR シニアアナリストの金谷敏尊氏によると、「電力危機や震災対策に関する問い合わせは、3.11以前の10倍に達している。4月以降は、6月から9月にかけた夏場の電力供給不足に対して、どんな対応をすればいいのかといった問い合わせが増加している」という。

 その背景には、策定していたBCP(事業継続計画)が、想定を上回る災害の前に効果を発揮せず、BCPそのものを見直す必要に迫られている企業が多いことも見逃せない。

 節電対策や停電対策に残された時間は少ない。そして、これまでの水準とは異なる視点での新たなBCPの策定も求められている。

 一方で、利用現場では一人ひとりが節電に向けた取り組みを行うとともに、十分な節電・停電対策を準備しておくことが必要である。いよいよ「夏」がやってくる。

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