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新着記事集:「負荷分散」

災害に立ち向かうコラボレーションの力--sinsai.info

富永恭子 (ロビンソン)

2011-06-17 21:29

 Linuxの推進を支援するLinux Foundationは、6月1日から開かれたLinuxの国際会議「LinuxCon Japan 2011」に先立ち、5月31日にプレイベントとして「The Power of Collaboration in a Crisis(災害時におけるコラボレーションの力)」をテーマにしたオープンフォーラムをパシフィコ横浜で開催した。

 フォーラムでは、オープンソースコミュニティの活動を通じた協力的活動による社会貢献の中でも、危機や災害時の支援活動の事例として「sinsai.info」が紹介された。

OpenStreetMapの自由な地図作成プロジェクト

 未曾有の災害となった東日本大震災の影で、ソーシャルメディアやオープンソースソフトウェア、コミュニティが活躍した。sinsai.infoも震災直後に支援活動を開始し、注目された活動のひとつだ。運営母体である一般社団法人 OSMFJ(OpenStreetMap Foundation Japan)の代表理事を務める三浦広志氏は、フォーラムでsinsai.infoがなぜ早く立ち上がり、開発を進められたのか、その誕生秘話を語った。

三浦広志氏 OSMFJ代表理事の三浦広志氏は、NTTデータ 基盤システム事業本部 システム方式技術ビジネスユニット 第三技術統括部 第三技術担当 Linux/OSSエバンジェリストでもある

 エンジニアとしてNTTデータに勤務する三浦氏は、1998年からLinuxカーネルの開発に参加し、CPUドライバやノートPCの電源を管理するACPI(Advanced Configuration and Power Interface)の開発に携わってきた。以来、Linux/OSSエバンジェリストとして、Linuxとオープンソースソフトウェアのエンジニア育成を目指している。オープンソースとの関わりの中で、世界で共有できる自由な地理空間データの提供を目指した「OpenStreetMap」(OSM)の活動趣旨に賛同した。

 OSMの地図づくりは、基本的に誰でも参加できる。地図作りに参加する人は「マッパー」と呼ばれるが、地図を作る手法は、大きく3つの方法があるという。

 ひとつには「GPSロガーを持って街を歩く」ことだ。スマートフォンなどのGPS機能をオンにして歩くことで、その軌跡を道路や建物の形で入力する。2つ目は、GPSを持っていない場合、既存の紙地図を使用しないことを前提に手描きの地図をスキャンし、共有して地図を描く。そして3つめの手法は、衛星写真や空中写真を背景にして、それをなぞり直して入力するというものだ。

 三浦氏は、2008年に「OpenStreetMap Japan」を設立し、日本でのOSMコミュニティ活動を支援する活動を開始する。

ハイチ地震でのOSMの救済支援活動

 OSMが初めて「クライシスマッピング」として注目されたのは、2010年1月12日に発生した「ハイチ地震」での支援活動だっだ。ハイチ地震は首都ポルトープランスの西南西25km、深さ13kmを震源に、M7.0の規模で発生し、31万6000人におよぶ犠牲者を出した。

 災害時の救援に、その地域の地図は欠かせない。ところが当時、オープンストリートマップを含め、Google Maps、Yahoo Maps、bing Mapsにおいてもハイチの詳細な地図が十分に整っていなかったという。震災後、救助が進まない理由として正確な地図がないことに気づいたOSMユーザーが、震源地のポルトープランスを中心に、震災後のハイチの現状を示す正確な地図を作り始めたのは、地震の翌日からだった。そして、世界中のユーザーがOSMにアクセスし、約2週間でハイチの震災後の状況を示す詳細な地図を作り上げた。

 この時、OSMでは震災後の航空写真を元に地図を引くと同時に、避難場所もプロットしていった。さらに地図データとそこにプロットされた情報は、救援ポータルサイトにも掲載され、その後の復興作業に役立てられたという。ハイチ地震後も、OMSはチリ震災、ニュージーランド震災、リビア騒乱で同様の支援を行なっている。

 これらの経験から、OSMでは災害時の地図の重要性を認識し、これを役立てる方法を検討していたという。その流れの中で、三浦氏は日本におけるOSMの発展とそれに伴う技術の促進を目指して、2010年12月にOSMFJを設立。新組織では、2011年3月19日に設立記念シンポジウムを開催する予定となっていた。

 まさに、日本人による「クライシスマッピングチーム」を編成し、世界中の被災地を地図作りで支援する体制を作ろうとしていた矢先だった。しかし、シンポジウムを1週間後に控えたその日、文字通り日本中を揺るがす大震災は起こったのである。

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