京都教育大学、全基幹システムをプライベートクラウドに2013年に移行

富永恭子 (ロビンソン)

2011-06-28 16:39

 京都教育大学は、プライベートクラウドを富士通のデータセンターに構築することを決定した。9月からの運用を予定しており、京都教育大学は2013年の基幹システムの全面移行に向けて、運用形態や事業継続性の効果などもあわせて検証するとしている。富士通が6月28日に発表した。

 京都教育大学は、教育研究用や教務、法人など全システム(サーバ60台)をすべて大学内で管理している。年に1度の法定停電によるメンテナンス時には長期間にわたり全システムを停止させる必要があり、学生や教職員向けのシステムが使用できなくなるなどサービスレベルの低下につながっていたという。学生が就職活動を行う上で必須のツールとなるメールシステムやレポートなどの提出の際に利用するファイルサーバの停止は、学生生活に大きく影響するため課題となっていたという。

 そこで同大学は、全システムに対しガバナンスを効かせ学内全体の運用保守の最適化を図るため、基幹システムのプライベートクラウドへの移管を検討した。2010年2月に、メールシステムやファイルサーバなど一部の基幹システムのサーバを仮想化し、15台を5台に集約。効率化に向けて1年間、仮想環境下での運用を評価した上で、富士通のデータセンターに京都教育大学専用のプライベートクラウドを構築することを決定したという。

 同大学は、事業継続計画(BCP)対策や学生へのサービス向上のために、2013年までに基幹システムのプライベートクラウドへの全面移行を計画している。9月のプライベートクラウドの運用開始にあわせ第1弾としてメールシステムやファイルサーバ、ウェブサーバを移行する。東日本にあるデータセンターで24時間365日稼働させることで災害時の連絡手段を確保、法定停電の影響を受けず就職活動で使用するメールを常時使用できるなど、運用面の向上を目指すという。

 プライベートクラウドの基盤には、2010年2月の仮想化から使用している富士通のUNIXサーバ「SPARC Enterprise T5140」3台とストレージシステム「ETERNUS NR1000 F2050」1台、PCサーバ「PRIMERGY」を採用し、高信頼で高性能なシステムを実現したという。東日本にあるデータセンターに移管したサーバのデータバックアップを京都教育大学内のサーバに保存するなど、ディザスタリカバリ構成とすることで事業継続対策を強化していると説明する。

 大学とデータセンター間のネットワークには、学術情報ネットワーク「SINET4」を採用した。SINET4は、国立情報学研究所が提供している大学、研究機関など向けの高速専用線による学術情報ネットワークで、約700の大学、研究機関などが利用している。これにより、ネットワークの信頼性と利便性の向上を図るとともに、業務の性質上、安定した高速ネットワーク回線が不可欠な基幹システムでも安心してデータセンターで運用が可能となるという。

 京都教育大学は、2013年までの基幹システム全面移行に向けて、9月の運用開始以降は、データセンターにおける24時間365日運用による効果を運用面や事業継続性の観点で検証していく。富士通は、全国国立大学市場で、初の事例という京都教育大学プライベートクラウドの9月本稼働を目指すとともに、データセンターを活用した大学クラウドサービス推進を展開していくという。

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