IDC Japanは8月10日、2011年第1四半期(1月〜3月)の実績と、最新の景気動向などに基づく国内製品別IT市場予測を発表した。
調査結果によると、2011年の国内IT市場は12兆3863億円で、前年比成長率が2.4%減となり、前回予測(5月時点)の12兆1301億円、3.9%減からやや改善した。また、2011年の国内通信サービス市場は11兆250億円で同0.5%増となり、前回予測の11兆115億円、0.4%増から若干の上方修正となった。なお、IDC Japanでは、今回の調査からハードウェア市場にタブレットとeReaderを含めているが、5月時点の前回予測についても補正を加えて比較している。
IDC Japanが定義する国内IT市場は、「ITサービス市場」「パッケージソフトウェア市場」「ハードウェア市場」の3市場で構成される。2011年の同市場は、東日本大震災、原発事故、電力不足、円高などによる景気低迷を要因に、全体として低調となり、前年比マイナス成長になるとみている。市場規模は、ITサービス市場が4兆8541億円で同1.8%減、パッケージソフトウェア市場は2兆1493億円で同6.5%減、ハードウェア市場は5兆3829億円で同1.1%減と予測している。
一方、国内通信サービス市場は、「固定網音声サービス市場」「固定網データ通信サービス市場」「移動体音声サービス市場」「移動体データ通信サービス市場」の4つのサブマーケットで構成される。2011年のそれぞれの市場規模は、固定網音声サービス市場が1兆9599億円で同9.9%減、固定網データ通信サービス市場が2兆6007億円で同4.2%増、、移動体音声サービス市場が3兆4227億円で同3.8%減、、移動体データ通信サービス市場が3兆417億円で10.8%増と予測。国内通信サービス市場は、移動体データ通信サービス市場の高い伸びによって、2011年全体としてプラス成長に転じるとIDCではみている。
同社では、2012年には復興需要や外需が牽引する形で日本経済が改善、それに伴い多くの製品がプラス成長となり、国内IT市場は全体としてプラスに転じるとみている。特に、移動体データ通信サービス市場の高成長が続き、これにより国内通信サービス市場は全体として引き続きプラス成長になると予測。2012年の国内IT市場規模は12兆8233億円で同3.5%増、国内通信サービス市場規模は11兆1816億円で1.4%増になるとしている。
また、IDCでは日本全国で電力不足が懸念される状況となった現在、データセンター戦略の見直しが必須だと指摘。同社のITスペンディング/ITサービス/ソフトウェア&セキュリティ/コミュニケーションズ グループディレクターの和田英穂氏は「ITベンダーは韓国など近隣国でのデータセンターと高速回線のサービスを選択肢として用意すべきだ」とコメントしている。