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インフォアとディーバの協業に見るグローバル化の実態--いかに変動リスクを抑制するか

田中好伸 (編集部)

2011-08-19 17:13

 経済のグローバル化がもたらすものの一つとして、事態の変化が急激に起きるという状況がある。2008年9月のリーマンショック後の世界を説明する時によく使われる「New Normal(新たな常態)」という言葉がそれを示している。

 欧州連合(EU)内の国家の過剰債務問題は、まだ火種が燻っており、沈静化のめどがたたない。やはり過剰債務に起因して米国債の格付けが下げられ、世界経済全体が減速するのではないかという懸念から株式市場は混乱している。東日本大震災は、日本の製造業でのサプライチェーンにかなりのダメージを与えるとともに、電力供給の不安定化ももたらしている。新たな常態という現在は、以前よりも“ボラティリティ(変動)リスク”が増大していると指摘できるだろう。

 すなわち、海外に進出する日本企業は、各拠点の状況をより迅速に把握する必要がますます高まっているのである。では、企業はボラティリティリスクの増大にどう対応すべきか。この問いに対して、統合基幹業務システム(ERP)パッケージベンダー大手ならば「自社製品による“グローバルシングルインスタンス”が一番の解決策」と答えるだろう。

 だが、ERPベンダーの日本インフォア・グローバル・ソリューションズと連結会計システムのディーバは、両社の製品を組み合わせることで、より安価に解決策を提供できると主張している。両社は8月18日、グローバル経営管理分野での協業を発表している。

図1 図1:今回の協業イメージ
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 今回の協業は、日本インフォアのERPパッケージ「Infor ERP」シリーズと、ディーバの連結会計システム「DivaSystem」、グループ統一会計システム「DivaSystem GEXSUS」、データ分析システム「DivaSystem MIPS」を組み合わせる。具体的には、各拠点の現場ではInfor ERPが受注や生産、販売、在庫などを管理しており、各拠点の現場のInfor ERPに入力された取引明細データが本社のGEXSUSに集約される。GEXSUSに集約された取引明細データは、MIPSで分析されるとともに、DivaSystemで連結決算を作成することもできる。

 Infor ERPシリーズは、中堅から大手の製造業向けの「Infor ERP LN(旧SSA Baan ERP)」、iシリーズやプロセス業向けの「Infor ERP LX(旧BPCS)」、中小中堅製造業向けの「Infor ERP SyteLine」、会計や受発注在庫管理の機能が中心の「Infor FMS SunSytems」で構成される。日本インフォアの石田雅久氏(ビジネスコンサルティング本部ビジネスコンサルティングマネージャー)によれば、「ERP SyteLineは国内外の製造業で生産管理を含めて豊富な導入実績を持っている」という。FMS SunSystemsも「全世界10万サイトで導入されている」としている。

図2 図2:具体的な製品活用
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 今回の協業で4つのERPパッケージを提供する日本インフォアは、これらのERPにあるデータを分析するビジネスインテリジェンス(BI)ツールとして「Infor PM Analysis」も提供する。このPM Analysisを活用すれば、各拠点の管理者は、週次や月次、製品別や顧客別でデータを分析できる。

 GEXSUSではグループ各社の会計情報が仕訳明細レベルで統合される。同時に販売管理などの各種基幹系システムのデータも収集できる。これらを統合して、グループ経営で必要な分析をさまざまな角度で展開することができる。いわばGEXSUSは、会計情報のデータウェアハウス(DWH)だ。GEXSUSの中のデータを見るBIツールとなるのがMIPSである。このGEXSUSとMIPSを組み合わせて活用することで、連結ベースで製品や仕向地などのセグメントごとに企業の状況を把握できる。ディーバによれば、「週次や日次での頻度でデータを集約できるが、数時間ごとに集約することもできる」という。

 今回の協業では、Infor ERPとDivaSystemシリーズを連携させることで、グローバルの経営情報を可視化するとともに、予測やシミュレーションを行うことができる。

 石田氏は、日本企業の現状について「製造業では、アジアを中心とした海外に積極的展開を重視しており、現地生産によるコスト低減と顧客への提供スピードの早期化を狙っている」と説明。その上で「グローバルでの業務標準化、サプライチェーン情報の早期把握のために、生産管理まで含め海外拠点に共通のシステムを導入、展開するようになっている。本社側では各拠点の経営情報と連結ベースでのグループ全体の業績把握を早くして、より迅速な意思決定を狙っている」と、今回の協業の背景を説明している。

 今回の協業では、国際会計基準(IFRS)対応も見据えている。DivaSystemやGEXSUSには、IFRS対応として複数元帳機能が搭載されている。

 IFRSといえば、適用延期が話題になっている。2015年か2016年にも強制適用が始まると見られていたIFRSは、最短でも2017年3月期からというのが現在の状況だ。

 ディーバの寺島鉄兵氏(第一事業本部営業部長)は、ユーザー企業のIFRS対応の状況について「どうしたらいいのか混乱している」と説明する。「国としてトーンダウンしているものの、IFRSについてはゆくゆくはやらざるを得ない」と見ているユーザー企業が大半のようだ。

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