日本IBMは、東京・港区で「IBM Pulse Japan 2011」を開催した。
冒頭の特別講演には、IBM Corporation Software Group, Worldwide Sales, Vice President, Tivoli SoftwareのJoao Perez氏が、「インテグレーテッド・サービスマネジメントでビジネス・イノベーションを実現 - 世界の先進事例が示す最新動向 -」との表題で講演。基調講演は、日本IBM ソフトウェア事業 Tivoli事業部 理事 事業部長の荒川朋美氏が担当し、「事業の継続と成長を実現する戦略的クラウド活用とサービスマネジメント - インフラの再構築に向けて -」との表題でサービスマネジメントの重要性を解説した。
ITインフラ全体の管理が重要になる
Joao Perez氏
Perez氏は、「世界はスマート化に向かっている。さまざまな機器は機能化され、相互接続し、インテリジェント化してきている。さらにデジタルの世界が統合化され、物理的なものとデジタル的なものの差異がなくなろうとしている。そのような状況が進めば、ITはネットワークやデータベースだけではなく、インフラそのものも管理しなければならない。インテグレーテッド・サービスマネジメントは、インフラ全体の管理を可能にする」と主張する。
インテグレーテッド・サービスマネジメントは、ビジネスにどのような価値をもたらすか。Perez氏は、以下のような事例を紹介した。
無線サービスプロバイダーの米Aircellは、飛行機内のインターネットサービスを提供しているが、無線アプリケーションの稼働にサービス管理システムを活用している。このサービスでは、データベース、HDD、基地局など、さまざまなIT資産が活用されており、それをインテグレーテッド・サービスマネジメントにより単一インフラで管理しているという。そのため、「コスト削減が可能になり、管理が簡素化される。それが物理とデジタル両方にまたがる統合サービス管理」(Perez氏)だ。
「Aircellのサービスはかつてなかったものだ。こうした発明には、ITベンダー側もツールなどを開発して支援しなければならない。我々がプラットフォームを定義しているからだ」(Perez氏)
また、アムステルダムのスキポール国際空港の荷物管理システムの事例では、年間5000万個の荷物、一つひとつにバーコードを付け、荷物がどこにあるかを正確に把握しているという。運営コストを40%削減するとともに、荷物の遅延、取り違えを60%低減化することに成功した。Maximo、WebSphere、Rationalなどを用いて、アプリケ−ションを構築したという。